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「家を建てたばかりなのに」退職を選んだ理由
妻に退職の意思を伝えると、美咲さんはすぐには答えなかったといいます。
「住宅ローンもあるし、子育てもあるし。このタイミングで単身赴任というのも……」
当然の反応でした。
子どもが生まれたばかりなのに、家を建てたばかりなのに、転勤の辞令が出る――サラリーマンであればよく聞く話です。ただ、実際に自身の身に起きるとは思いもしませんでした。
そして夫婦で話し合い、大樹さんは退職の意思を固めます。
理由は、金銭だけではありません。子どもが生まれたばかりの時期に、子どもから離れるのは、絶対に避けたかったのです。
「妻の負担ももちろんあります。それよりも、単身赴任が続いて、子どもの成長をきちんと見られなかった、という先輩方の声もよく聞いていました。私は絶対に避けたかった」
大樹さんは現在、転職活動を始めています。条件を下げずに次の仕事を見つけることは簡単ではありません。それでも、転勤のない会社、勤務地を選べる会社を中心に探しています。
エン株式会社が実施した「転勤・単身赴任」実態調査によると、転勤経験者のうち実に76%が「単身赴任」を選択しています。また、転勤で良くなかったこととして「家族と離れ離れになった」(41%)が最多に挙がったほか、全体の35%が「転勤をきっかけに退職を考えた(実際に退職した5%含む)」と回答しました。
共働きや育児期における単身赴任は、生活費の二重負担やワンオペ育児など家庭へ大きな負荷を与えます。住宅購入や出産直後といった人生の節目における一方的な辞令は、離職に直結しかねない現実を示しており、企業側にも柔軟な働き方や配慮が求められています。
[参考資料]
エン株式会社『ミドル世代に聞いた「転勤・単身赴任」実態調査。半数以上が転勤経験あり。うち単身赴任の割合は76%。35%が転勤をきっかけに退職を考えたことがあるという結果に。』