(※写真はイメージです/PIXTA)
揺れる心
今回の挑戦を諦めれば、間違いなく一生後悔することになります。悩み抜いた末、カオルさんは自分の人生を守るため、母の反対を押し切って仕送り額を減額し、予定どおり進学しました。
当然ながら、母からの反発は凄まじいものでした。振込額を減らした直後から、スマホには母からの電話が連日ガンガン掛かってくるようになったのです。「冷たい娘だ」「親を殺す気か」と怒りとなじる留守電が残される日々。最初のころ、カオルさんは罪悪感に苛まれ、電話に出ては母をなだめ、感情的になって涙を流すこともありました。
しかし、毎日のように繰り返される強い言葉に対峙し、MBAで夢に向かって頑張るさまざまな世代の仲間と話をするうち、カオルさんのなかで少しずつ変化が生まれていきます。母が怒っているのは、自分を憎んでいるからではなく、単に自分の生活と権利を守るために必死になっているだけなのだと、客観的に捉えられるようになったのです。
最近では、画面に母の名前が表示されてもスルーできるようになりました。自分の時間に集中できる強さを、カオルさんは手に入れつつあります。
「冷静になって考えると、自分の主張をなりふり構わず通そうとする母って、ある意味すごくたくましいんですよね。母からすれば相当な『親不孝者』になっちゃいました。でも、自分の人生を突き進むためのその図太さや強さは、いまの私にとっても少し見習うべきところなのかもしれません」
カオルさんはそう苦笑いを浮かべますが、複雑な思いは消えていないようです。
親子共倒れを防ぐためのお金とキャリア戦略
親世代の中には、子からの援助を「当然の権利」と捉え、子どもをコントロールしようとする人もいます。
しかし、40代の子世代が自身のスキルアップやキャリア防衛に投資することは、将来的な稼ぐ力を維持し、結果として親子双方の経済的破綻を防ぐために合理的な判断ともいえます。仕送りのために自身のキャリアアップを諦めてしまえば、将来的に自分の収入が頭打ちになり、長期的には親を支え続けることすらできなくなってしまう可能性もあるでしょう。
また、月15万円という高額な仕送りがなければ成り立たない母の家計構造そのものにも見直しが必要です。不足分をすべて子どものポケットマネーで埋めるのではなく、地域包括支援センターや社会福祉協議会に相談し、公営住宅への引っ越しや医療費・介護費の軽減制度、必要に応じた公的扶助の活用など、社会のセーフティネットへつなぐアプローチへ転換することが求められます。
親からの「親不孝」というレッテルや強い罪悪感に怯える必要はありません。子世代には自身の人生を確立し、経済的な自立を守る権利があります。時には境界線を引いて距離を置き、自分の足で力強く歩むことは、本当の意味で持続可能な親子関係を保つための策かもしれません。
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