老後の資産は、守ることだけが選択肢ではありません。一方で、投資を続けることに不安を感じる人もいます。では、78歳になっても株式や投資信託を持ち続ける人は、何を考えているのでしょうか。金融資産5,000万円を持つ吉田さんの事例から、高齢期の資産運用について考えます。
「78歳でも投資は絶対やめません」〈金融資産5,000万円〉〈年金月17万円〉元公務員、攻めの資産運用を続けるワケ ※写真はイメージです/PIXTA

株を持っていると世の中が気になるんです

「78歳でも、投資は絶対にやめません」

 

東京都内で暮らす吉田博さん(78歳・仮名)。元公務員で、65歳で仕事を辞めました。現在は月17万円ほどの年金を受け取り、金融資産は5,000万円ほどあります。

 

吉田さんが株式投資を始めたのは40代のころ。きっかけは、職場の同僚から勧められたことでした。最初から資産を大きく増やそうと考えていたわけではありません。

 

「最初は少額でした。でも、株を持つと、その会社のニュースを見るようになるんですよ」

 

保有する企業の決算や新商品を調べる。

新聞で業界の記事を読む。

 

金利や為替の動きも気になるようになったといいます。

 

「自分のお金が入っているから、ニュースが他人事じゃなくなるんです。社会に参加しているような感じがして、それが面白かった」

 

78歳になった今も、その感覚は変わっていません。朝は経済ニュースを確認し、保有銘柄の値動きを見るのが日課です。

 

「上がればもちろんうれしいですよ。逆に下がれば、今日はどうしたんだろうと思う。多少ドキドキしますよね」

 

投資を続ける理由を聞くと、「お金を増やしたいから」という答えだけではありませんでした。

 

「利益が出るのはうれしい。でも、それだけなら、こんなに長く続けていないと思います」

 

金融経済教育推進機構『家計の金融行動に関する世論調査(2025年)[二人以上世帯調査]』によると、70代世帯の金融商品保有率において株式は44.3%、投資信託は29.6%に上り、高齢期でも運用を続ける世帯は少なくありません。また同機構の『金融リテラシー調査(2025年)』では、70代の知識正答率は66.2%と全世代で最も高く、日常的な情報収集や運用経験が判断力を支えていることが窺えます。

 

吉田さんの場合、日々の生活費は年金でおおむねまかなえています。そのため、すぐに使う予定のないお金については、投資に回しています。ただし、5,000万円をすべて運用しているわけではありません。