老後の憧れを詰め込んで購入した、理想のマイホーム。しかし、加齢による体力の衰えや毎年の過酷な猛暑により、庭の維持管理が深刻な負担となってしまうケースは少なくありません。ある夫婦の事例を通して、老後の住まい選びと快適さを保つ工夫を紐解きます。
「庭のある家で孫と犬と遊ぶはずだった…」〈年金月32万円〉65歳夫婦、夏の猛暑に絶望した理由と、その先に見た希望 ※写真はイメージです/PIXTA

「管理しすぎない庭」への見直し

そんなとき、市内で開かれた住宅関連の相談会で、庭の維持管理について話を聞く機会がありました。事例として聞いたのは、庭を「管理する場所」から「管理しなくてもよい場所」へ変えるという考え方。芝を撤去し、防草シートと砂利を施工する。花壇は最小限にする。伸びやすい庭木は思い切って伐採し、低木へ植え替える。工事費は約85万円だといいます。

 

決して安くありません。それでも毎年の草刈り費用や、何より命の危険を考えれば納得できる金額でした。翌年の夏、庭の様子は一変しました。

 

草むしりに追われることは、ほとんどありません。朝早く外へ出て汗だくになる必要もなくなりました。プランターをいくつか並べて、無理なくガーデニングを楽しんでいます。砂利の敷かれた庭では子ども家族とバーベキューを楽しみます。そこには、目に入れても痛くないほどかわいい孫のはしゃぐ姿も。あとはペットを飼えば、思い描いた通りの夢が現実になります。

 

内閣府『高齢社会に関する意識調査(高齢期の住み替えについて)』によると、高齢者が住み替えを検討するようになった理由は、「健康・体力面で不安を感じるようになったから(24.8%)」が最も多く、次いで「自身の住宅が住みづらいと感じるようになったから(18.9%)」となっています。

 

佐々木さん夫婦が直面した庭の管理負担は、年齢に伴う体力変化がもたらす切実な「住みづらさ」の代表例です。老後のマイホーム購入では、理想の広さや憧れだけでなく、将来の「維持管理の負担」まで見据える必要があります。早めの対策や「管理しすぎない工夫」を取り入れることが、長く安心して我が家で暮らし続けるための鍵となります。