(※写真はイメージです/PIXTA)
「貯金だと限界がある」…同僚の言葉で夫が抱いた“預金至上主義”への焦り
「数年前から毎月インデックスファンドに積み立ててるだけなんだけどさ。気づいたら元本から数百万円も増えてて、これで子どもの教育費は何とかなりそうだよ」
同期が安堵の表情を浮かべながら語るのを聞いて、ナオキさんは内心衝撃を受けていました。一方の自分たちは、共働きで毎月5万円を捻出し、ただ足し算で増えていくだけ。
「現金で貯めるのには限界がある。今のペースだと、娘の未来を守れないかもしれない」
焦りを感じたナオキさんは、まずは自身のお小遣いの範囲内で、密かに新NISAで投資を始めました。そして数ヵ月後、カナさんに意を決して「娘の教育資金も、新NISAでの運用を少し考えてみないか」と提案しました。
ところが、返ってきたのは冷ややかな言葉でした。
「新NISAなんてやらせない!」妻が放った強烈なひと言
「新NISAなんてやらせない! もし娘が大学に行くときに暴落してお金が減っていたら、どうするつもりなの?」
カナさんにとって、夫婦で毎日忙しく働き、生活を切り詰めて貯めてきたお金は、娘への愛情そのもの。それを不確実な相場にさらすことは、二人が誓った約束を破る行為に思えたのです。ナオキさんは預金と投資の違いを何とか伝えようとしました。
「世界中の株式に分散してコツコツ積み立てていけば、長期的には預金よりも高いリターンが期待できる。複利の力で少しでも増やしておくことが、将来の学費の足しになるはずなんだ」
しかし、カナさんにとっての現実は、日々の家計簿や周囲のママ友との会話にありました。
「私の周りでそんなことやってる人、誰もいないわよ! ネットの情報に騙されてるんじゃないの?」
過去のデータや長期投資のメリットを説いても、カナさんの「1円でも減る可能性があるなら無理」という強固な姿勢を崩すことはできません。自分が信じる「合理的な備え」と、妻が守り抜こうとする「額面の確実さ」が平行線であることを感じ、ナオキさんは静かにため息をつくしかありませんでした。
とはいえ、元本割れのリスクを避ける「現金貯蓄」が完全に間違っているわけではありません。月5万円を積み立てる今のペースでも、確実に教育資金は貯まっていきます。大切なのは、どちらか一方の価値観を押しつけるのではなく、夫婦が納得できる着地点を少しずつ探っていくことなのかもしれません。
[参考資料]
・金融庁『NISAの利用状況の推移(令和7年12月末時点・速報値)』
・金融経済教育推進機構『家計の金融行動に関する世論調査 2025年』
・文部科学省『令和5年度 子供の学習費調査結果』
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