(※写真はイメージです/PIXTA)
自分が面倒を見れば介護費用は浮くという目論見
都内の一戸建てに住む加藤和夫さん(65歳・仮名)は、半年前から実家で暮らす88歳の母親の介護を一人で担っています。加藤さんは4年前に定年退職し、現在は月額17万円の年金と、現役時代に蓄えた1,500万円の貯蓄を取り崩しながら生活しています。当初は「自分が面倒を見れば介護費用は浮く」と考えていました。
「お金もなかったし、親を施設に入れることにも抵抗があった。自分には選択肢がなかった」
母親は要介護3の認定を受けており、認知症の症状も進んでいます。週に3回デイサービスを利用していますが、月々の介護保険 of 自己負担額や、おむつ代、医療費などの実費を合わせると、母親の月7万円の年金だけでは到底足りません。毎月約6万円の赤字が発生し、加藤さんの貯蓄から補填する日々が続いています。
「最初は、息子である自分が手を貸せば済む話だと思っていました。でも、夜中に何度も起こされ、徘徊を止めるために一晩中起きている日常が続くと、精神的に追い詰められていきます」
「プロの手を借りたいと思っても、お金の不安はあるし、認知症が進んだ今、母の意向をきちんとくみ取ることも難しい……」
加藤さんは、目の下に黒いクマを浮かべながら、掠れた声で本音を漏らします。
厚生労働省『令和4年国民生活基礎調査』によると、要介護者等から見た主な介護者の続柄は同居人が45.9%を占め、その内訳は配偶者が22.9%、子が16.2%となっています。さらに同居介護者の年齢層は男女ともに7割以上が60歳以上という現実があり、加藤さんのように高齢の子がさらに高齢の親を介護する「老老介護」が増加傾向にあります。