(※写真はイメージです/PIXTA)
鳴り物入りの中途課長と、現場を支え続けたベテラン社員
都内の大手サービス企業でAI推進課長を務めるAさん(37歳)は、5年前、他社での実績を買われて中途入社しました。ITスキルとマネジメント力を発揮し、現在の月収は65万円。社内の期待を背負い、全社の業務へAIを組み込むプロジェクトを牽引しています。
そんなAさんが今回、AI導入の拠点としてメスを入れたのが、コールセンター部門でした。
そこで待ち受けていたのが、現場のリーダー格であるBさん(49歳)です。Bさんは、過去の組織改編や出向など、荒波をいくつも乗り越えてきた勤続21年の生え抜きベテラン社員。オペレーターたちからの信頼も厚く、現在の月収は40万円。マニュアルを完璧に把握し、どんなクレームにも定型どおりに対応する、まさに現場の「生き字引」のような存在でした。
3週間の沈黙
Aさんが進めるプロジェクトは、コールセンターの一次対応を生成AIベースの自動応答システムへ置き換え、オペレーターの負担を激減させるというものでした。
プロジェクトの成功には、Bさんに新システムの検証をしてもらい、現場に合わせたマニュアルのアップデートやフィードバックをもらうことが不可欠。しかし、プロジェクトが本格始動した途端、なぜかBさんのところでタスクが完全にストップしてしまいます。
「システムのバグが多く、現場の運用に耐えうるか確認に時間がかかっています」「従来の手順との整合性を確認するため、慎重に精査せざるを得ません」——Bさんはそういって、Aさんからの催促をのらりくらりとかわし続けました。
しかし、実際にはシステムに大きな問題はなく、ほかのメンバーへの確認をBさんが意図的に止めている形跡さえ見えてきたのです。締め切りを過ぎても一向に上がってこない成果物。気づけばタスクは3週間も遅延し、プロジェクト全体のスケジュールにほころびが。Aさんの目には、Bさんが会社の未来の足を引っ張る意図的な業務遅延を働いているようにしか映りません。