(※写真はイメージです/PIXTA)
「娘の人生を親の世話で奪いたくない」
5年前に夫を亡くし、郊外の戸建てで一人暮らしを続けていたヨシコさん(74歳)。ヨシコさんの受給する年金は月約14万円です。日常の生活費自体はこの範囲で賄えており、生活面で困っていたわけではありません。亡き夫が遺してくれた生命保険金や蓄えを合わせると約4,000万円の資産があり、金銭的な不安も特段ありませんでした。
しかし、70歳を過ぎてからヨシコさんを悩ませていたのは、家そのものの維持・管理の手間です。築40年を迎えた自宅は、雨どいの修理や庭木の剪定、エアコンの不調、さらには給湯器の買い替えと、トラブルが頻発。そのたびに業者を探して見積もりを取り、立会いや支払いの対応に疲れていきました。
「いまはまだ自力でできるけれど、80歳を超えて同じように動けるかしら」
2階へ掃除機を運ぶ階段の上り下りや、日用品の買い物での運転。日々の暮らしに潜む危険と負担に、ヨシコさんは少しずつ限界を感じていました。
一人娘のナナミさんは、都内に住んでいます。ナナミさんは車を持たないため、ヨシコさんのもとを訪れるには2時間ほどかけて、電車を乗り継ぐ必要があります。それでも娘は「なにか困ったことがあったら、いつでも連絡してね」と気遣ってくれていました。
しかし、ヨシコさんはその申し出に甘えるつもりはありません。
「娘には自分の仕事や家庭がある。今後私が日常生活に不便が出てきたとき、ことあるごとに呼びつけることはしたくない」
子どもに介護の手間をかけさせず、体が思うように動かなくなる前に自分の意思で施設へ移る――。ヨシコさんの固い決心です。そこで、自宅を売却して老人ホームへ入居する準備を始めました。
入居にあたっての資金シミュレーション
仕事の合間を縫ってナナミさんも一緒に施設を見学しました。最終的に選んだのは、綺麗な設備と親切なスタッフが印象的だった民間施設です。入居にあたって、資金面もしっかり計算しました。
準備できた総資産:4,500万円(夫の保険金・預貯金4,000万円 + 築40年戸建ての売却益500万円)
初期費用:入居一時金 300万円(差し引き後の手元資金:4,200万円)
毎月の収支:施設月額費用 20万円 - 年金収入 14万円 = 毎月6万円の赤字
毎月6万円(年間72万円)を蓄えから取り崩す計算になりますが、手元に残った4,200万円があれば、109歳〜132歳になるまで資金が枯渇することはありません(雑費や医療費で毎月10万円取り崩したとしても、109歳まで余裕で持ちます)。
「ここならお金的にも安心だし、スタッフさんも優しそうね」と、二人で納得して契約を結びました。