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40代娘「親なんだから助けてくれてもいいでしょ」
国立社会保障・人口問題研究所『第7回全国家庭動向調査』によると、「親は子ども夫婦と暮らすべきだ」との賛成割合は2008年の50.8%から2022年には26.5%へと半減しました。また、育児の相談相手も「親」から「夫」へと逆転(夫48.7%、親38.5%)しており、親と一定の距離を保ちたい子世代の心理がうかがえます。
しかしその一方で、経済的な理由から親との同居を選択せざるを得ない子世帯も少なくありません。とはいえ、高齢者世帯の懐事情も決して楽なわけではないのが現実です。厚生労働省『2024(令和6)年 国民生活基礎調査』によると、高齢者世帯の43.4%が「収入のすべてが年金」と回答。収入の80%~100%未満も含めると、約6割に達します。
高齢の親が限られた年金収入のなかで成人した子どもの生活費を支える――その負担の大きさは、想像に難くありません。和雄さん夫婦も当初は一時的な同居だと思っていました。しかし年月が経つにつれ、夫婦の老後設計は少しずつ変わっていきました。
旅行の計画はなくなりました。
家電の買い替えも後回しになりました。
預貯金の取り崩しも以前より早くなっています。
「お金もそうですが、気持ちのほうがきついですね」
和雄さんはそう話します。特に心配なのは将来です。夫婦のどちらかが介護を必要とする状態になったとき、娘が自立していなければどうなるのか。
「私たちがいなくなったあと、この子は本当に生活できるのかなと思います」
実は和雄さん夫婦が最も苦しんでいるのは、現在の負担そのものではありません。終わりが見えないことです。由佳さんは実家を出る予定を口にしません。貯蓄額も教えてくれません。将来の住居についても具体的な話はありません。
「気づいたら40代半ばです。それでも親が何とかしてくれると思っているように見えるんです」
和雄さんは続けます。
「都合が悪い話になると聞こうとしない。でも、生活の面倒は親が見るのが当たり前だと思っている。思春期がそのまま続いているようなもの」
和雄さんは娘を追い出したいわけではないといいます。
「本当はお金の問題じゃないんです。いつまでにどうするのか、一緒に考えてほしいだけなんです」
娘を助けたい気持ちと、自分たちの老後を守りたい気持ち。その間で揺れ続ける和雄さん夫婦。
親の年金と善意によって支えられる生活は、一見すると家族の助け合いに見えるかもしれません。しかし期限や負担のルールがないまま続けば、高齢の親の生活基盤そのものを揺るがしかねないのです。