老後の生活を支える柱となる公的年金。内閣府「令和7年版高齢社会白書」によると、公的年金・恩給を受給している高齢者世帯のうち、家計収入のすべてが年金・恩給となっている世帯は41.7%に上ります。多くの人が「年金だけでは暮らせない」「貯金を取り崩すしかない」と不安を抱える一方で、現役時代に築いた強固な年金基盤により、退職金に一切手をつけることなく豊かなセカンドライフを謳歌している夫婦も存在するようです。60代夫婦の事例から、現役時代の働き方がもたらす老後の「本当の経済的自由」について考えます。※事例の人物名はすべて仮名です。
「年金だけで意外と足ります」退職金計5,100万円の65歳定年夫婦、ゴルフ三昧の日々を謳歌できる〈嫉妬の的の年金額〉 (※写真はイメージです/PIXTA)

豊富な退職金があるが…

夫婦そろって65歳の定年を迎えた、ユタカさん(仮名)とヤスコさん(仮名)。二人の手元には、計5,100万円の退職金があります。

 

これほどの大金があれば、貯金を切り崩しながら贅沢三昧……と思いきや、ユタカさんは涼しい顔でこう語ります。

 

「実は、退職金にはほとんど手をつけていないんです。年金だけで意外と暮らせてしまうんですよ」

 

資産を減らす恐怖とは無縁のまま、週に何度もグリーンに立つ夫婦。彼らが「ゴルフ三昧のセカンドライフ」を謳歌できる背景には、同世代が驚くほどの「手厚い年金額」がありました。

大手企業×公務員の年金パワーカップル

ユタカさんとヤスコさんは、現役時代をそれぞれの職場でフルタイムで勤め上げた共働き夫婦です。

 

夫のユタカさんは大手電機メーカーの管理職として定年まで勤め上げ、退職金は3,000万円。一方、妻のヤスコさんは地方自治体の職員(地方公務員)としてキャリアをまっとうし、2,100万円の退職金を手にしました。これだけの老後資金があれば、老後の不安などどこ吹く風ですが、彼らの本当の強みは「退職金の多さ」そのものではありませんでした。

 

彼らの暮らしを根底から支えているのは、現役時代に二人でコツコツと積み上げてきた「厚生年金」と「上乗せ年金」の受給額です。日本の平均的な高齢者夫婦の年金受給額が月額約22万〜23万円といわれるなか、「大企業会社員×地方公務員」という手厚い保障をダブルで受け取る二人の受給額は平均を大きく上回っています。

 

夫・ユタカさん  元大手メーカー管理職(厚生年金+企業年金)  約22万円

妻・ヤスコさん  元地方公務員(厚生年金+年金払い退職給付)  約16万円

夫婦合計                             約38万円(年間約456万円)

 

「現役時代は毎月引かれる社会保険料の高さにため息をついていましたが、65歳になってその恩恵を痛感しています。主人の大企業での厚生年金に加え、私の公務員時代の『年金払い退職給付(旧・職域加算)』の上乗せもある。リタイア後に毎月、合計で38万円が振り込まれる安心感は、何物にも代えがたいですね」とヤスコさん。