(※写真はイメージです/PIXTA)
消えるはずのない場所
厚生労働省『国民生活基礎調査(2024年)』によると、65歳以上の高齢者のうち単独世帯は約903万人。今後も増加すると予測されています。
またお墓の後継ぎ問題も深刻化しています。そうした背景から、近年増えているのが都市型の納骨堂です。厚生労働省によると、納骨堂の経営主体は永続性と非営利性が求められるため、原則として地方自治体(市町村等)、宗教法人、公益法人などに限定されています。しかし現在は、一部の民間業者が利益目的で参入。宗教法人の「名義貸し」やずさんな資金管理・放漫経営の末に経営破綻するケースが問題視されるようになりました。
山田さんもその流れのなかにいました。しかし契約時には考えもしなかったことがあります。
「納骨堂だってビジネスなんだ……」
契約時には豪華な施設や利便性ばかりを見ていました。財務内容など確認したこともありません。
「私は安心を買ったつもりだった。でも安心そのものが商品だったわけですね」
山田さんは苦笑します。その後、別の納骨施設の資料請求も始めました。しかし高齢になるほど新たな契約審査や保証人の問題が出てきます。費用も安くありません。生前契約金として100万円超を求める施設もありました。すでに支払った180万円がどう扱われるかも不透明な状況です。
「また最初から探すのかと思うと気が遠くなる」
今年に入り、山田さんはエンディングノートを書き直しました。以前は死後の手続きや資産整理について細かく記していました。ところが今、新たに書き加えた項目があります。
『納骨先の再確認』
かつて最も不安が解消されたはずの部分でした。それが再び最大の懸念になったのです。
「老後資金も準備した。契約もした。やるべきことは全部やったつもりでした。でも、人生の最後の居場所だけは、自分一人では守れないのかもしれません」
身寄りのない高齢者が増える時代。終活市場も拡大していますが、契約書に署名した瞬間に安心が完成するわけではありません。人生の最終準備だと思っていたものが、ある日突然、不安の入り口へ変わることもあるのです。そして山田さんは今も、ときどき考えるといいます。
「もし明日、私が死んだら。この骨は、いったいどこへ行くんだろう」