結婚を機に、実家と子どもの間に生じる「生活環境や価値観のギャップ」。それまで良好だった親子関係であっても、予期せぬすれ違いが生まれてしまうことがあります。結婚を控えた次女から、思わぬ言葉を告げられたある家族。なぜ祝福されるべき門出が、実家との距離を生む原因になってしまったのでしょうか。
「結婚式には絶対来ないで!」〈年金月27万円〉60代の両親が絶句。玉の輿に乗った次女から“実家排除”された家族分断の現実 (※写真はイメージです/PIXTA)

「実家の雰囲気が合わない」次女から告げられた出席拒絶

そして、新たな展開を迎えたのは、結婚の報告から半年以上が経った頃でした。優奈さんから幸子さんに連絡が入ったのです。その電話で、優奈さんは結婚式への出席を拒む意思を明確に伝えました。


「結婚式には、お父さんもお母さんも、お姉ちゃんたちも、誰も来ないでほしい」

 

幸子さんが「どうしてそんなことを言うの。みんな楽しみにしているのよ」と理由を尋ねると、優奈さんは次のように話したそうです。

 

「相手の参列者は経営者ばかりなの。そこに地方の元公務員の父親や、母親、一般人のお姉ちゃん一家が来たら浮いてしまうでしょ。私の立場がないの」

 

幸子さんは「自分たちの生活や存在そのものを否定されたと感じました」と当時を語ります。やり取りを聞いていた夫が受話器を代わろうとしましたが、優奈さんは「もう決めたことだから」と言って電話を切ってしまったとのことです。

高齢者世帯にも存在する、とんでもない経済格差

厚生労働省『2024(令和6)年 国民生活基礎調査』によると、高齢者世帯の1世帯当たり平均所得金額は314.8万円です。また、高齢者世帯の総所得に占める「公的年金・恩給」の割合が100%の世帯は43.4%、8割以上を含めると6割弱にのぼります。

 

さらに55.8%が「生活が苦しい(「大変苦しい」と、「やや苦しい」の合計)」と回答しています。これが日本の高齢者世帯の平均的な姿です。

 

一方で、これはあくまでも平均像。所得金額の分布をみていくと、年間所得350万円未満の高齢者世帯は7割ですが、年間所得700万円以上は5.4%、1,000万円以上は2.3%存在します。そこには、年金に依存する高齢者、生活苦にあえぐ高齢者という一般像はありません。

 

高齢者世帯でもこれほどの経済格差があるのだから、現役世代と比べたら経済的ギャップはさらに大きくなるでしょう。

 

さらに、国立社会保障・人口問題研究所『第16回出生動向基本調査』によれば、独身女性が結婚相手に求める条件として「経済力」を「重視する」と答えた割合は48.7%、「考慮する」を合わせると91.6%に達しています。女性が婚姻によって配偶者の高い経済水準に移行する場合、実家との関係維持に障害が起きることも容易に想像がつくでしょう。

 

優奈さんの結婚式は、親族が出席しないまま行われました。幸子さんたちには、式の写真や報告の連絡は一切届いていません。実家側の親族席は最初から用意されず、別の参列者で埋められたことを、後に長女の美咲さんが人づてに聞いたといいます。

 

現在、木村家では優奈さんに関する話題が上ることはありません。優奈さんからの連絡は途絶えており、家族のグループLINEにも優奈さんが登場することはないそうです。