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実家で一人暮らしをする72歳の母親と、都内で働く44歳の独身サラリーマン
都内のIT企業で働く佐藤健一さん(44歳・仮名)は今、遠方に住む母親の突然の要介護化と、それに伴う月15万円という重い経済的負担により、自身のキャリアを諦める「介護離職」の危機に直面しています。
原因は、元気だと思い込んでいた70代の親に訪れた予期せぬ体調の変化と、遠距離介護における「仕事と費用の両立」の難しさにありました。
佐藤さんは都内の中堅企業でプログラマーとして働いており、月収は50万円ほど。独身ということもあって、これまでは比較的ゆとりのある生活を送っていました。
地方の実家では、72歳になる母・花枝さん(仮名)が一人で暮らしていました。定期的な電話のやり取りでも変わった様子はなく、佐藤さんの頭の中にも「介護」という文字はまったくなかったといいます。
状況が一変したのは昨年の冬。母親が自宅の廊下で転倒し、大腿骨を骨折して入院。退院後も自立した生活が難しくなり、要介護1の認定を受けることになりました。
佐藤さんは「まさかこんなに早く、自分の身に介護が降りかかってくるとは想像もしていませんでした」と当時を振り返ります。
突然始まった遠距離介護、往復の交通費と民間サービスで「月15万円」が消失
仕事を辞めて実家に戻る選択肢は現実的ではないと考えた佐藤さんは、都内に住みながら実家へ通う「遠距離介護」を選択しました。しかし、平日は仕事があるため、母親のサポートは週末に限られます。
毎週末、新幹線を利用して実家へ往復するだけでも、交通費は月に約8万円に達しました。
さらに、平日の見守りや家事代行など、公的介護保険の枠内だけでは補いきれない民間サービスの手配や、急な呼び出しに対応するための費用が重なり、毎月の持ち出し額は合計で約15万円に膨れ上がりました。
月収50万円という佐藤さんの収入は、単身生活を送る上では十分なものでしたが、毎月15万円が固定費のように消えていく生活は、確実に貯蓄を削り、精神的にもつらいものだったといいます。