「何のために働いているのだろう」と、ふと呆然としてしまう瞬間はありませんか? 収入アップ、仕事の成果、人付き合い、そして充実したプライベート。真面目な人ほど、これらすべてを「もっと良くしなければ」と100点満点を目指して追いかけ、自らを追い詰めてしまいがちです。本記事では、佐野創太氏の著書『70%で働く 「もっと頑張る」から脱出する働き方の思考法』(日経BP)より、事例を交えながら、人間関係に「30%の余白」を作るメリットを明かします。
収入が増えても「お金が減る恐怖」から1日も休めなかった“限界フリーランス男性”が一転…減っていく通帳の数字を見て「むしろ喜べる」ようになったワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

「時間」と「主語」でお金を使う意味を捉え直す

まずは「お金」についてです。「お金は増えればうれしく、減れば不安になる」。ごく自然な感情で、誰もがそう思うでしょう。しかし、その感覚に縛られすぎると、「お金の喜び」はすぐ小さくなります。「お金が好き」と語る相談者さんの多くも、突き詰めると「お金そのもの」以上に「お金がくれる安心」を求めています。

 

キャリア相談で出会ったフリーランス5年目のGさんはこう話してくれました。

 

「収入が安定的に増えていないと不安で、休むことも使うことも控えていました。働く喜びは、お金が稼げたときだけ。稼いだお金を使うことは、“安心を減らすこと”に思えて怖かったんです」

 

Gさんは、「収入は増え続けるべきだ」という物語を生きていました。そこで一緒に、「時間」と「主語」、この2つの観点から考え方を少しずらしてみました。

 

1.時間:長い目で収入を見ると、お金を減らす「意味」がわかる

一緒に2年分の収入を1カ月ごとに振り返ってみました。「ここで収入が減ってますけど、何かあったんですか?」とお聞きすると「なんだったかな」と忘れていました。メールを見返してもらうと「そうだ、ここで資格を取る講座に通っていたんでした」と思い出せました。

 

実はGさんは、この「収入が減った月」に「今の働き方は続けられない」と落ち込んでいたのです。でも実際は「将来のための投資」として、収入が減っていただけです。そのため、その後の収入は増やすことができていました。

 

「直近のお金の増減にとらわれていました。お金を減らすことで得られるものもあるんですね」と自分の選択を後から肯定でき、自信を取り戻していました。

 

2.主語:「誰と使ったか」で色付けすると、減っていくお金に喜べる

もうひとつ一緒に見直したのはお金を使う「主語」です。支出として減っていくことばかり注目していると「もっと切り詰めなきゃ」と焦るばかりです。

 

そこで「このお金は誰と使ったのか」を一緒に見ていきました。主語で支出を仕分けます。すると「これは家族と過ごす休日のためのお金。これは友人と出かける旅行のお金ですね」とお金に色付けができるようになりました。「これは何がなんでも必要な経費ですね!」と使ったお金の額を見て、喜んでさえいました。

 

「お金が減るのは悪。増えるのは善」。一見すると100%正しく見えるこの考え方にも「30%くらいは疑う余地があるのでは」と思って70%で考えてみると、自分を縛る価値観から自由になれます。

 

本来の私たちは、「お金は楽しく使いたい」はずですから、「増えた」「減った」で働き方の価値まで測らなくていいのです。