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「潰れない管理職」は、あえて自分の手を引く
以前、とあるIT企業で「エース社員が退職しない組織づくり」を目的とした組織開発の支援をしていたときの話です。私が、「潰れない管理職って、どんな共通点があるんですかね?」と尋ねたら、こんな答えが返ってきました。
「潰れない管理職は、“引き算”ができる人です。潰れる管理職は“掛け算”で考える。自分が率先して2倍働けばいいと思うんです。でも、潰れない管理職は“引き算”で考えて、部下が気持ちよく動けるように、自分の手を引くんです」
「何割くらい引くんですか?」と聞いたところ、「最初は2割くらいで十分」とのことでした。
この「引き算の発想」は、「70%で働く」という考え方とも重なります。管理職になりたては特に、つい「全力で」「完璧に」と自分にプレッシャーをかけがちです。でも、あえて余力を残すことで、緊急時の意思決定やチームの調整、次の戦略の検討など、重要な判断に集中できます。
無理がある「プレイングマネージャー」という働き方
プレイングマネージャーという言葉がありますが、これほど疲弊する考え方はないのに、会社ではよく使われます。自分の目標は減るどころか増えるのに、部下やチームのマネジメントもする働き方です。
この働き方に疲れきった管理職の相談者のDさんと「引き算の働き方」を一緒に考えました。Dさんは部下のクレーム処理をすべて引き受けていましたが、やめました。
「メンバーに感謝はされるんですよ。“Dさんがいて助かりました”って。でも、あるとき気づいたんですよ。誰も成長していないって。なので“まずひとりで対応してみて。そこから一緒に考えましょう”と伝えました。意外とできちゃうもんなんですよね。引いてみてよかったです。役員にも“ようやく管理職の自覚が出てきたな”と評価されもしました」
いつでも「全力で頑張る」だけが、選択肢ではありません。「働き方を見直す」ときには、「やらないことを増やす」ことがよくあります。完璧主義にこだわらず、力を分配することは、自分の持続力を守るだけでなく、チームや会社の期待に応え続ける働き方でもあります。
