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最初は口を出さないと約束をしていた母だったが…
「母からの多額の支援が、結果として家の中をかき乱すことになりました」
東京都内のIT企業に勤務する加藤和也さん(43歳・仮名)は、これまでの経緯を語り始めました。和也さんは妻と18歳の長男、慶介さん(仮名)の3人で暮らしています。事の発端は数年前、慶介さんが私立中学への進学を希望したことでした。
当時の和也さんの世帯年収は約800万円。都内での住宅ローン返済と生活費を考慮すると、私立中学の学費を継続的に捻出するのは大きな負担でした。そこへ、和也さんの母である加藤幸子さん(70歳・仮名)が、入学金と授業料全額の援助を申し出ました。
「母は父(幸子さんの夫)を亡くしたあと、月14万円ほどの年金を受け取っていました。それだけあれば生活費は十分だから問題ないと。母は『慶介の教育は私の楽しみ。教育方針には口を出さない。自由に使っていいから』と話し、私共はその言葉を信じて、年間150万円近い援助を受けることに決めました」
しかし、幸子さんの態度は、送金を重ねるごとに変化していきました。資金を提供していることを理由に、家庭内への干渉が始まったのです。
「最初は成績への感想くらいだったんです。通知表をみながら『もう少し英語をがんばらないとね』とか。それが次第に、たびたび電話が鳴るようになって、『私がお金を出しているのだから、私の言う通りに勉強させなさい』と指示するようになったんです」
慶介さんが成長するにつれ、週末ごとに和也さんの家を訪れては、妻の家事や教育態度を数時間にわたって叱責する状況が常態化しました。
「妻が反論しても、『誰のおかげでこの子が学校に行けていると思っているの』と取り合いませんでした」
妻は次第に精神的な不調を訴えるように。和也さんは幸子さんに「もうお金はいいから、家に来るのをやめてくれ」と伝えましたが、幸子さんは「今さら援助をやめて慶介が退学になったらどうするのか。親の厚意を無碍にするのか」と激昂し、話し合いになりませんでした。
事態が急変したのは、慶介さんの大学受験を目前に控えた昨年冬のことです。幸子さんから、手元の資金が尽きたという連絡が入りました。
「母から『もう貯金がない』と電話がありました。『今度はあなたたちが私の生活費を月5万円負担して、同居の準備を進めて』と言うんです。確認すると、あんなにあった貯金が数万円になっていました。母は老後の蓄えをすべて私共の家庭に投じることで、将来の面倒を見てもらう権利を買ったつもりでいたようです」
和也さんは妻の体調と家庭の維持を優先し、幸子さんの要求を拒否しました。
「母から『お金を返せ』『冷酷な息子だ』と怒鳴られましたが、これ以上は無理だなと思って。しばらく距離を置いたほうがいいと判断し、今は一切の連絡を絶っています」
