親が自身の老後資金を削ってまで、成人した子の生活費や負債を補填する「親子共倒れ」。定年後の安定した生活を設計していたはずが、予期せぬ家族のトラブルによって、その土台が根底から覆されるケースも少なくありません。今回は、ある男性のエピソードを通して、公的年金制度の活用法についてみていきます。
「お父さん、ごめんなさい…」〈借金1,000万円〉で詰んだ41歳長男が土下座。「大丈夫だ。俺に任せておけ」と年金繰下げ中の69歳父、「まさかの決断」 (※写真はイメージです/PIXTA)

年金の「過去分一括受給」に潜む注意点

このように、繰下げ受給を取りやめて未受給分の年金をまとめて受け取る方法は、急な資金ニーズに対応できる手段の一つです。ただし、いくつか注意すべき点があります。

 

まず、過去分の年金を一括で受け取ると、その金額は受け取った年の所得として扱われます。公的年金等控除を差し引いたとしても、単年度の所得が大きく増えるため、翌年の所得税や住民税、国民健康保険料などが急増する可能性があります。

 

また、70歳以上の場合は、所得水準によって医療費の自己負担割合(2割または3割)が判定されるため、一時的な所得増により負担割合が上がるリスクも無視できません。介護保険料についても、所得に応じた負担増につながることがあります。

 

さらに、繰下げ受給を取りやめた場合、本来得られたはずの「年金額の増額効果」を放棄することにもなります。長生きするほど、この生涯受取額の差は大きくなります。

 

なお、制度改正により、一定の条件を満たす場合には、過去分の年金について「繰下げ受給したものとみなして」増額後の金額で受け取れる仕組み(いわゆる「特例的な繰下げみなし」)も設けられています。ただし、適用には年齢や請求時期などの条件があるため、誰でも利用できるわけではありません。

 

急な資金需要に対応する手段として有効である一方で、将来の収入や税・社会保険への影響も伴うこの選択。家族の問題であっても、制度の仕組みを理解したうえで慎重に判断することが求められます。

 

 

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