孫に囲まれる老後は、多くの人にとって幸せな夢のひとつです。自分の子供を育てたのは20代・30代の働き盛りのとき。日々の生活に追われ、子供を叱る場面も少なくなく、自分が深い愛情を注いだ記憶が薄い人も多いはず。 しかし孫の場合、子育ての責任があまり重くないせいか、愛情だけで関わることができるようになります。孫の学費を出してあげたい、ランドセルは買ってあげたい、孫が結婚するときまで生きていられたらお祝いをあげたい、できることならひ孫が生まれたらまたお金をあげたい……など、孫のためならお金は惜しくないと感じる人も多いのです。しかし、その愛情からの支援が、子世代からの「お金の無心」へと変わってしまったら? 「孫のためなら親はいくらでもお金を出すだろう」という子世代の甘えが常態化したら、孫とのかかわりを見直すべきなのかもしれません。年金生活のなかで“孫費用”に悩み、下した決断の先に待っていた現実とは――。※個人の特定を防ぐため、事例は一部脚色しています。
「6人目が生まれた。女の子」孫の写真なし、既読スルー…息子家族に“貯金2,100万円”を食い潰された年金13万円・72歳母の悲哀。ついに拒んだ孫の修学旅行代、途端に消えた「ばあば」の居場所 (※画像はイメージです/PIXTA)

 援助を断った途端、潮が引くように離れていった

その日を境に、息子一家からの連絡は途絶えました。

 

以前は週に何度もあった「ばあば、今度遊びに来て」という孫からのLINE。それも、嫁が孫に書かせて送らせていたものだったと、あとになって気づきました。連絡をしてくるのは、決まってお金を無心する前だったのです。

 

孫の運動会にも、誕生日にも、声がかからなくなりました。修学旅行のお土産を持ってくるという話もありません。母Kさんから連絡しても既読スルーです。あれほど「ばあば、ばあば」とくっついてくれた5人の孫からの連絡はありません。

 

「結局、私はお財布だったのね」誰もいない部屋で母Kさんはそうつぶやきましたが、涙は出ませんでした。心のどこかで、ずっと前から気づいていたことだったからです。

 

それから半年が経ったころ、息子Rさんから久しぶりにLINEが届きました。

 

「6人目、生まれた。女の子」

 

たったそれだけでした。写真も、名前も、いつ生まれたのかも書かれていない。母Kさんが「おめでとう、会いにいってもいい?」と返信しても、既読がつくだけで返事はありませんでした。

 

初めての女の子の孫。男の子ばかりだった息子夫婦がどれほど喜んでいるのか、どんな顔をしているのか、なにもわかりません。かつてなら真っ先に駆けつけ、ベビー服を何着も買い揃えていたはずでした。

 

テーブルの上に置いたスマートフォンを、母Kさんはしばらく見つめていました。画面はもう暗くなっています。

 

「6人目にして待望の女の子だったのね」母Kさんはまたひとりでつぶやきました。

 

 

長岡理知

長岡FP事務所

代表

 

 

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