孫に囲まれる老後は、多くの人にとって幸せな夢のひとつです。自分の子供を育てたのは20代・30代の働き盛りのとき。日々の生活に追われ、子供を叱る場面も少なくなく、自分が深い愛情を注いだ記憶が薄い人も多いはず。 しかし孫の場合、子育ての責任があまり重くないせいか、愛情だけで関わることができるようになります。孫の学費を出してあげたい、ランドセルは買ってあげたい、孫が結婚するときまで生きていられたらお祝いをあげたい、できることならひ孫が生まれたらまたお金をあげたい……など、孫のためならお金は惜しくないと感じる人も多いのです。しかし、その愛情からの支援が、子世代からの「お金の無心」へと変わってしまったら? 「孫のためなら親はいくらでもお金を出すだろう」という子世代の甘えが常態化したら、孫とのかかわりを見直すべきなのかもしれません。年金生活のなかで“孫費用”に悩み、下した決断の先に待っていた現実とは――。※個人の特定を防ぐため、事例は一部脚色しています。
「6人目が生まれた。女の子」孫の写真なし、既読スルー…息子家族に“貯金2,100万円”を食い潰された年金13万円・72歳母の悲哀。ついに拒んだ孫の修学旅行代、途端に消えた「ばあば」の居場所 (※画像はイメージです/PIXTA)

気難しくなった性格でトラブルを呼ぶ息子と、インフルエンサー気取りの妻

店を廃業してから、息子夫婦はどちらも自己破産。息子Rさんはまた美容師として勤めに出ましたが、プライドが邪魔をして店ではたびたび問題を起こしては転職を繰り返します。行く先々でオーナーと店の方針を巡って口論になること、オーナーから「お前は社員であって経営者ではない」と諭されることも。

 

かつての富裕層のお客さんはもう誰一人ついてきません。人当たりのよかったRさんは気難しくなり、表情もどこか暗く、近寄りがたいのです。指名客は少なく、担当するのはどの店でも新規客ばかり。自分の高い技術の需要はなく、求められるのはいかに安く、早く終われるかだけ。そのストレスがまた自分の顔つきを悪くし、リピートはないという有様です。当然ながら収入は低く、手取りで月20万円に届きません。

 

一方で、妻Uさんはというと、そのような状況でも美容師として働きに出ることはありませんでした。最近はなにやら「美容系インフルエンサー」を気取り、Instagramなどで収益を得たいと考えているようですが、現状は無収入です。フォロワーは500人程度。一定の人気はあるようですが、趣味の域を出ません。

 

お金がなく、国民年金も国民健康保険も滞納しているにもかかわらず、今度は6人目の子供を妊娠中です。「もう少し、お金と相談して子供を作ったらどう?」と母Kさんはいいそうになりますが、我慢しています。子供夫婦の出産に意見を挟むのは親として最低だと思う一方で、結局お金が足りなくなって自分にすがるのだろうという恐怖があります。

 

「その賑やかな大家族の生活費を出すのは私なのよね」と母は心で思いながらも、孫たちが駆け寄ってくるとすべてを忘れてしまいます。しかし、ものすごい勢いで貯蓄は少なくなっていきます。母Kさんが年金以上の収入を得ることは不可能である以上、貯蓄が減っていくのは恐怖でしかありません。息子夫婦の金銭管理の能力の低さは、もしかしてどこかおかしいのかと思い悩むこともしばしば。

病気が突きつけた「もう続けられない」という現実

転機は母Kさんが軽い脳梗塞で入院したことでした。幸い後遺症は残らなかったものの、生活を改善しないと再発リスクは高いといわれています。血圧は上が200に近づくこともあります。現在も170を下回ることはなく、絶対に無理はできません。もともと野菜嫌いの偏食だった母Kさんは、毎日苦手なはずのブロッコリーを食べるようになりました。

 

入院中は同じ病室に、重い脳卒中を患った同世代の女性がいました。全身が麻痺していて反応がほとんどなく、看護師に痰の吸引をしてもらい、いびきをかいて寝ていました。1ヵ月ほどで介護施設へと移っていきました。母Kさんはその光景にショックを受け、初めて自分の家計を冷静に見直しました。預金は残り700万円。息子夫婦からの無心が続けば、あと2年ほどで底を突きます。

 

「私が脳出血で倒れて介護になったら、お金はどうしたらいいのだろう」母Kさんは怖くなってしまいました。介護施設に入ることもできず、自宅での介護も無理となったら? 息子夫婦が頼りになるはずがありません。

 

退院後、しばらくしてから、母Kさんのもとにまた息子Rさんが、お金を貸してほしいとやってきました。長男の修学旅行の費用が足りないのだといいます。母Kさんは冷静に息子にいいました。

 

「ごめんね、もうお金はないの。自分の介護のお金も残さなきゃならなくて」

 

「孫のためでも無理なの?」と息子は驚いた様子。

 

「修学旅行のお金なら払ってあげたいけど、もう無理なの」

 

たかだか修学旅行の費用くらいは払えますが、その金はきっと息子夫婦の浪費に使われるだけではないかと疑念があります。息子は、「わかったよ」といい、すぐに帰っていきました。脳梗塞後の1ヵ月の入院中も見舞いに来たことはなく、その日も身体を気遣う言葉はありませんでした。無論、妻のUさんも同様です。

 

「あれほどお金を頼ってきたんだから、上っ面でも私を心配してみたらどう……」と息子夫婦に憤りを感じる母Kさんです。

 

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