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美容師の腕は一流なのに、商売の才能は皆無の息子
息子のRさんは美容師です。専門学校を出てから都内の有名サロンで修業を積み、腕を磨きました。その技術は評判を呼び、毎日指名で忙しい日々。次第に客層は富裕層の女性へと移っていき、客単価は3万円~5万円。人当たりもよく客からは非常に好かれていたといいます。
息子Rさんは30歳になるのを機に独立し、違うサロンで働いていた妻のUさんと一緒に、南青山にある元美容室の居抜き物件を借りて、小さなプライベートサロンを構えました。10坪の広さに、セット2台、シャンプー台2台というこぢんまりした店ですが、富裕層の女性を迎えるために高級な内装とプライベート感にこだわりました。
開業資金は高額でした。個室間の強い店舗への改装費用をはじめ、集客ポータルサイトへの掲載費、チラシの印刷代、元の顧客へのDM、Rさん夫婦の当面の生活費……。問題は、母Kさんがその開業資金の大半を支援したということ。息子夫婦は雇われ時代にクレジットカードの返済を頻繁に滞納していたため、金融機関からの融資が受けられなかったのです。
「美容師として一流になったといっても、美容師はやはり所得が高くない仕事。雇われていればなおさらです。自分の店を持ってオーナーとして働けば所得もよくなっていくだろうと、開業資金を出しました」と母Kさん。亡くなった夫が残した貯蓄と生命保険金の一部を使いました。
開業した当初は、もとの顧客が引き続き訪れていて、繁盛していました。従来どおりに客単価は3万円以上のまま。1日2人の来店で売り上げは5万円ほど。25日稼働して月の売上額は125万円になる計算です。家賃40万円を支払い、材料費10万円、光熱費3万円、決済手数料4万円、保険などの雑費8万円を差し引くと、残りは60万円。
個人事業であるため60万円を家に持ち帰ることができるはずでした。客数が1日あたり1人増えただけで、もっと手残りが増えるはずです。
ところが息子Rさんの店は、3年目に廃業。原因は、夫婦の絶望的な金銭管理の下手さでした。
