(※写真はイメージです/PIXTA)
介護離職が招く「経済的困窮」と「共依存」のリスク
厚生労働省『令和4年国民生活基礎調査』によると、主な介護者が「同居の家族」である割合は45.9%にのぼり、そのうち「ほとんど終日」介護に従事している層は27.2%に達しています。このように家族一人が負担を抱え込みやすい実態がある中で、仕事との両立を断念するケースは後を絶ちません。
総務省『令和4年就業構造基本調査』によると、過去1年間に介護・看護を理由に離職した人は約10万6000人。毎年10万人前後で推移しています。特に佐藤さんのような50代後半での離職は、厚生年金の加入期間短縮による将来的な受給額の減少を招きます。これは看取り後の自身の生活基盤を根底から揺るがす、深刻な経済リスクとなるのです。
こうした自己犠牲的な介護の背景には、被介護者と介護者が密室で依存し合う「共依存」の関係があります。同居家族が主な介護者となる場合、外部の支援から孤立しやすく、精神的な疲弊が限界に達しても「自分がやるしかない」という強迫観念に囚われがちです。
その結果、介護という役割を喪失したあとに深刻な燃え尽き症候群(介護ロス)に陥るだけでなく、佐藤さんの事例のように、献身が報われない事実(親族間の資産配分の不平等など)に直面した際に、大きなショックを受けることも少なくありません。
大切なのは、介護を情緒的な愛着の問題に留めず、公的な支援を前提とした生活設計として捉えることです。親の希望を優先して離職を選ぶ前に、地域の包括支援センター等を通じて外部サービスを最大限活用しましょう。子のキャリアと資産を守る視点を持つことが、介護を終えたあとも続く自身の幸せのためには不可欠です。
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