毎年届くハガキに記載された受給見込額を見て、老後の青写真を描いている人は多いはずです。しかし、額面上の数字が「将来手元に残る金額」と一致するとは限りません。ある男性のケースから、将来の年金受給額を左右する見落としがちなポイントを見ていきます。
「将来は年金月20万円!」45歳会社員「ねんきん定期便」で将来安泰を確信に鼻歌も、20年後の「手取り額」を試算して絶句したワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

将来の年金額は、どれほどの価値があるのか

田中さんが抱いた危機感は、現在の年金制度に組み込まれている「マクロ経済スライド」という仕組みに基づいています。厚生労働省が公表している『令和6年度財政検証』の結果によると、今後、少子高齢化の進展に合わせて年金の給付水準を自動調整する期間が長期間続く見通しです。

 

この調整により、額面上の年金額が物価や賃金の上昇ほどには伸びず、実質的な購買力が低下していきます。経済前提にもよりますが、所得代替率の低下を考慮すると、将来の年金の価値は現在の現役世代が受給する頃には、2割程度目減りしている可能性が指摘されています。

 

さらに、年金受給者が避けて通れないのが「手取り額」の減少です。年金からは、国民健康保険料や介護保険料、さらに所得税や住民税が天引きされます。

 

総務省『家計調査 家計収支編 2025年平均』から試算すると、現在の高齢夫婦は年金収入(額面)の12%ほどを、社会保険料や税金として徴収されている実態が浮かび上がります。今後、現役世代の減少に伴い、受給世代への負担増が議論されているなか、将来的な天引き額はさらに増加する可能性が高いでしょう。

 

たとえば、額面で月額20万円を受給していても、実質価値が2割目減りして16万円相当になり、そこから社会保険料等が天引きされれば、最終的な手取り額が現在の価値で「14万円程度」になるという試算は、決して非現実的な数字ではありません。

 

ねんきん定期便に記載された「額面」だけを頼りにするのではなく、将来の負担増を見越した資産形成や、インフレに備えたリスク管理の視点が、今の40代には不可欠となっています。

 

 

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