長引く物価高に教育費や生活費の増加が重なり、家計のやりくりに頭を悩ませるご家庭が増えています。そんな中、追い打ちをかけるように届くのが「住宅ローン金利上昇」の知らせです。多くの方が利用している変動金利ですが、「5年ルール」によって直近の返済額が据え置かれているため、事態の深刻さに気づきにくいという恐さがあります。本記事では、Aさんの事例から、住宅ローンの5年ルールの落とし穴について、FPの川淵ゆかり氏が解説します。※プライバシー保護の観点から、相談者の個人情報および相談内容を一部変更しています。
またか!もう4回目だよ…3年後に住宅ローン「月10万4,277円→月12万1,733円」に返済額アップの月収58万円・43歳会社員父。《銀行の通知》で知らされた、陰で膨らむ「600万円の追加負担」に戦慄【FPが警告】 (※写真はイメージです/PIXTA)

「繰上げ返済すれば返済額は上がらない」は本当か?

Aさん夫妻は「いまのうちに100万円を繰上げ返済しておけば返済額は上がらないのでは?」と考えました。一見正しい解決策に思えますが、実はここにも「5年ルール」ゆえの落とし穴が潜んでいます。元金返済の先送りが生じているため、ローン残高の減り方が想定よりも遅くなっているのです。

 

◎2029年4月時点のローン残高

金利上昇なし:3,365万4,015円

金利上昇あり:3,491万9,666円

→ +126万5,651円

 

つまり、120万円以上の返済が先送りされるため、2026年4月に100万円繰上げ返済しても、2029年4月の返済額は11万8,100円に上昇してしまいます。

 

なお、返済額を現在と同じに保つには約500万円の繰上げ返済が必要です。それだけ、金利上昇の影響が大きいということです。

2026年4月、家計を襲う「Wパンチ」の可能性

変動金利の指標となる政策金利は、日銀政策決定会合で決まります。次の2026年4月27・28日の会合で金利上昇が決まれば、Aさんには半年後の10月に銀行から5回目の通知が届くでしょう。仮に、10月にも0.25%上昇した場合、2029年4月の返済額は12万6,730円まで上昇する計算です。

 

5年ルールの猶予期間をどう使うか

かつて、賃金が右肩上がりだった時代には、この「5年ルール」は借り手の生活を守る強い味方でした。しかし、給料が上がりにくく物価高が家計を直撃している現代の家計事情とは合わなくなりつつある制度ともいえます。

 

とはいえ、返済額がアップする2029年春までの残り3年の猶予期間は、住宅ローン計画を見直す貴重な時間です。

 

・老後まで返済が続く家庭

・返済額が上がると家計が厳しくなる家庭

・繰上げ返済のタイミングを迷っている家庭

 

こうした家庭は、早めにシミュレーションし、家計への影響を最小限に抑える対策を検討しておくことが重要となります。

 

 

川淵 ゆかり

川淵ゆかり事務所

代表