「学歴なんて関係ない、実力で勝負しろ」――。叩き上げで部長まで上り詰めた男性は、受験生である長男の「早慶・MARCH全落ち」という現実を前に、自らの持論を振りかざすことはできませんでした。自らの成功体験を否定してまでも、父が息子に「浪人」を勧めた理由とは。最新のデータから、学歴格差の正体をみていきます。
早慶MARCH全滅…月収55万円「叩き上げ部長」の父が「ダメなら働け」と長男に言えなかった理由 (※写真はイメージです/PIXTA)

データが示す「学歴は保険」という保護者の切実な現実

文部科学省「学校基本調査」によると、大学進学率(過年度卒含む)は上昇を続け、2025年度の大学・短大進学率は61.4%と、6年連続で過去最高を更新しました。大学進学はもはや「特別な選択」ではなく、大多数が進むべき道となっています。

 

こうした状況下で、親世代が抱く危機感はより具体的になっています。株式会社DeltaX/塾選が実施した「学歴に関する意識調査」では、小中学生の保護者の62.2%が、子どもに望む最終学歴として「4年制大学卒」を挙げています。

 

特筆すべきは、佐藤さんのように「自分より高い学歴」を子どもに望む保護者が45.1%に達している点です。同調査では、4年制大学を望む理由として「就職に有利になる(52.1%)」「将来の選択肢が広がる(42.1%)」が上位を占めました。

 

さらに6割強の保護者が、今後も学歴の価値は「今より高まる」または「変わらない」と回答。多くの保護者が、学歴を「将来の職業選択における制限を回避するための具体的な手段」として捉えている実態が浮き彫りになっています。

 

実際に学歴の差は、給与の差として如実に表れます。厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、同じ男性の正社員であっても、平均給与は学歴によって歴然とした開きがあります。

 

高校卒:月収32.4万円、年収536.8万円

専門学校卒:月収33.8万円、年収542.1万円

大学卒:月収42.7万円、年収702.9万円

(※男性、正社員、企業規模計)

 

さらに、同じ「部長」という肩書を手に入れたとしても、その差は明らかです。

 

高校卒部長:月収51.9万円、年収796.1万円

専門学校卒部長:月収53.6万円、年収827.2万円

大学卒部長:月収69.3万円、年収1,086.8万円

(※男性、企業規模計)

 

「学歴なんて関係ない」「努力次第で上に行ける」とは、軽々しく言えるものではありません。「働けばいい」という持論を息子にぶつけられなかった佐藤さんの判断は、親として、そして社会人として、極めて現実的な感覚であったといえるのではないでしょうか。