※写真はイメージです/PIXTA
孫消費の現状と、インフレショック
まず、近年の「孫消費」の実態を見ると、その負担は年々重くなっています。ソニー生命保険が発表した「シニアの生活意識調査(2025年度版)」によると、孫がいるシニア(60歳~79歳)がこの1年間で孫のために支出した金額の平均は「11万9,413円」となりました。
支出項目の上位には「お小遣い・お年玉(73.4%)」に続き、「一緒に外食(50.2%)」「旅行・レジャー(42.8%)」が並びます。物価高騰が続くなかでも「孫への出費は削りたくない……」。そんな切実な思いが読み取れます。
一方で高齢者の家計は決して楽ではありません。総務省「家計調査 家計収支編(2025年度平均)」によると、1ヵ月あたりの不足分(実質的な赤字額)は約4万2千円。この不足分は、実収入から税金や社会保険料などの非消費支出を差し引いた「可処分所得」に対し、実際の「消費支出」が上回ることで発生しています。多くの世帯が貯蓄の切り崩しなどで補填している実態が浮き彫りになりました。
収支悪化の背景にあるのが、まず「物価高騰」です。食料品や光熱費などの生活必需品の値上がりが続き、消費支出を押し上げています。次に「実質収入の伸び悩み」。名目上の年金支給額が増えても、物価上昇率に追いつかず、実質的な購買力が低下しているのです。
そのようななか、今回伊藤さんを悩ませたのが「レジャー費」のインフレです。「消費者物価指数(2026年1月発表分)」を見ると、教養娯楽サービス、とりわけ「入場料等」の項目は前年同月比で高い上昇率を維持しています。主要テーマパークでは、入園料の段階的な値上げに加え、待ち時間を短縮する「有料優先権」の購入がなかば常態化しており、家族分を揃えれば数万円の追加出費が不可避となります。
「孫のため」という優しさが、年金で暮らす高齢者にとって家計を圧迫する大きな要因となりつつあります。資産があるからと安易に子世代に還元していった結果、いざというときに数千円の追加費用さえ捻出をためらう事態に陥ることも。愛情と資金管理のバランスを見誤ると、「孫破産」という極端な状況さえ起きかねないのです。