老後の生活設計において、多くの人が指標としている「ねんきん定期便」。しかし、そこに記された受給予想額が、必ずしも受け取れる総額とは限りません。特定の条件を満たす世帯には、通知には記載されない「申請しないと受け取れない年金」が存在します。ある男性のケースを見ていきましょう。
ねんきん定期便「230万円」に納得の66歳男性。年金事務所で歓喜した「年40万円の隠しボーナス」の正体 (※写真はイメージです/PIXTA)

「申請主義」というハードル…なぜ定期便には載らないのか?

村岡さんのように提示された受給額で納得してしまい、後から「本来もらえるはずの加算」に気づくケースは少なくありません。

 

「ねんきん定期便」は、あくまで「その人本人の加入実績」に基づいた計算結果を通知するものです。加給年金は「配偶者の年齢や年収」という外部の家族情報が不可欠なため、個人の記録のみを管理している定期便のシステム上、あらかじめ加算額を合算して表示することが難しいのです。

 

加給年金を受け取るためには、以下の3つの条件をすべて満たさなければなりません。

 

① 本人の実績: 厚生年金保険の被保険者期間が「20年(240ヵ月)以上」あること

② 家族の構成: 本人が65歳になった時点で、生計を維持している「65歳未満の配偶者(または子)」がいること

③ 収入の制限: 配偶者の前年の年収が850万円未満であること

 

65歳になる前に届く「年金請求書」には、配偶者や子の情報を記入する欄があります。そこに情報を記入した上で、「その家族を養っている(生計を維持している)」ことを証明する住民票や所得証明書などを添付して申請します。もし請求時に書き忘れても、後から「加給年金額加算開始届」を出せば受給は可能です。

 

なお、令和7年度において配偶者が65歳未満であれば、年間41万5,900円(23万9,300円+特別加算額17万6,600円)を受け取ることができます。

 

ただし、手続きを忘れても遡れるのは過去5年分までです。それ以上過ぎると時効により受け取れなくなります。また、条件を満たして申請しても、「配偶者の年収が850万円以上になったとき」や「配偶者自身が厚生年金に20年以上加入して老齢年金などを受け取り始めたとき」などは、支給が停止されます。

 

自身が加給年金の対象かどうかは、最寄りの年金事務所の窓口や、日本年金機構の「ねんきんダイヤル」などで確認することができます。