56歳のときに早期退職優遇制度を利用し、会社員生活にピリオドを打ったKさん(75歳)。手にした割増退職金1,800万円と貯金2,200万円を頼りに、その後は週4日の午前中だけ無理なく働き、62歳からは年金を繰上げ受給する道を選びました。同世代が定年まで身を粉にして働くなか、あえて収入減を受け入れて「自分の好きな仕事」を楽しむ12年間を手に入れた、70代男性の事例を紹介します。
「もし定年まで働いていたら…」割増退職金1,800万円と貯金2,200万円を手に、56歳で早期退職。年金「繰り上げ受給」で送る“後悔なき老後” (※写真はイメージです/PIXTA)

割増退職金のおかげで広がる老後の選択肢

Kさんのように、定年を待たずに早期退職し、あえて収入を落として無理のないペースで働く生き方を選択するシニアが増えつつあります。

 

その決断を後押ししているのが、企業が提示する魅力的な退職条件です。東京商工リサーチの調査によると、上場企業による「早期・希望退職募集」の人数は、2025年には1万7,875人に達しています。かつてのリストラと大きく異なるのは、募集を実施する企業の約7割が業績好調な「黒字」であるという点です。これらの企業は、自発的な退職を促すために多額の割増退職金を用意しています。

 

また、まとまった退職金を手にしたあとも、完全にリタイアするのではなく「自分のペースで働き続ける」ことを選ぶシニアは少なくありません。マイナビキャリアリサーチLabの「ミドルシニア/シニア層のアルバイト調査(2025年)」によると、65歳以上のシニア層がアルバイトで働く目的は「生活費のため」が最多(46.9%)であるものの、「健康維持のため(38.1%)」や「健康的な生活リズムを作るため(33.7%)」、「充実感ややりがいを得るため」など、経済面以外の働く意味を見出している声も多く見られます。

 

手厚い退職金制度は、中高年が現役生活から抜け出し、自分らしいペースで社会と関わり続けるためのセーフティネットの一端を担っています。

 

[参考資料]

東京商工リサーチ「2025年 上場企業『早期・希望退職募集』状況」

マイナビキャリアリサーチLab「ミドルシニア/シニア層のアルバイト調査(2025年)」