超高齢社会を迎え、親の最期を看取る世代もまた、定年を過ぎた高齢者であるケースが増えています。 実際に当事者となったとき、長年、当たり前とされてきた「立派な葬儀」や「先祖代々の墓」は、現代の価値観とは合わないことも珍しくありません。 慣習に従うことが正解なのか、遺族の意向に合わせるのが良いのか。ある女性の決断をみていきます。
年金月18万円・92歳父の遺言「葬儀は盛大に」…64歳娘が350万円を立て替えた末にみた誰も箸をつけない「大量の精進落とし」とその後の意外な決断 (※写真はイメージです/PIXTA)

「多死社会」で加速する供養のダウンサイジングと現実的選択

国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、日本の年間死亡者数は2040年に約167万人でピークを迎える「多死社会」に突入します。これに伴い、葬儀の形式は劇的な変化を遂げています。

 

株式会社鎌倉新書『第6回お葬式に関する全国調査(2024年)』によると、葬儀の種類別割合で、親族以外も参列する「一般葬」は25.9%に留まり、親しい身内のみで行う「家族葬」が54.6%と過半数を占めています。 特筆すべきは参列人数の減少です。2013年時点では約78人だった平均参列者数は、10年間で約半数まで減少し、過去最少水準を更新しました。

 

また、葬儀における飲食代の平均額は20.7万円です。佐藤さんのように「形式」を重視して多人数分を用意しても、実際には辞退者が増えています。背景には、高齢参列者の健康上の理由や、人間関係の希薄化があります。

 

一方で、墓に対する意識にも変化が生じています。厚生労働省の「令和4年度衛生行政報告例」によると、既存の墓を撤去する「改葬(墓じまい)」の件数は全国で15万1076件と過去最多を記録し、前年度の11万8975件から約27%も急増しました。 地域別にみると北海道が1万2243件と最も多く、次いで東京都、大阪府、兵庫県、千葉県と続き、都市部・大都市圏で多い傾向にあります。この背景には、少子高齢化や核家族化に伴う墓の管理・承継の困難さがあります。

 

かつては当たり前だった豪華な葬儀や先祖代々の墓。しかし佐藤さんのように、形骸化した慣習を捨て「今を生きる家族が笑顔で手を合わせられる形」を選び直すことは、現代における真の親孝行といえるのかもしれません。

 

[参考資料]

株式会社鎌倉新書『【第6回】お葬式に関する全国調査(2024年)』