(※写真はイメージです/PIXTA)
「ゆとり」を消費する現代人のジレンマ
2023年にUCC上島珈琲株式会社が行った調査では、20~30代の若い世代を中心に「丁寧な暮らし」への憧れは、約6割に達しました。
パナソニック ホームズ株式会社『住まいの暮らしやすさに関する調査2025』によると、家事には「負担」と「楽しみ・やりがい」の両面があります。 男性は女性に比べ、負担の大きい家事に対しても「わくわく(楽しみ・やりがい)」を感じる傾向が強いとされています。 単身男性の場合、家事が「趣味」や「自己研鑽」の側面を持ちやすいため、松本さんのように限界を超えてしまうリスクがあるといえるでしょう。
しかし、そのこだわりが招く時間的コストは看過できません。 内閣府『令和6年版 男女共同参画白書』によると、単身世帯を含めた現役世代において、生活の満足度を高めるためには「有償労働(仕事)」以外の自由時間をいかに確保するかが重要な指標となっています。 同白書では、ワーク・ライフ・バランスの観点から、家事の省力化が個人のウェルビーイングに寄与することが述べられています。
さらに家計面でも、単身世帯特有の傾向が見て取れます。 総務省『家計調査 家計収支編』によると、単身世帯の食料支出(4万4,659円/月)において「外食」(9,761円/月)や「調理食品(惣菜等)」(8,289円/月)の割合は依然として高く、これは多忙な単身者が効率的に栄養と時間を確保するための合理的な選択であるといえるでしょう。 こだわりの食材や手作りに固執することは、昨今の物価高騰下において、経済的にも時間的にも、生活を揺るがしかねない“贅沢”になっているのが現実です。
このような背景もあり、「ていねいな暮らし」を始めたとしても、松本さんのようにストレスに感じてしまったり、途中で断念してしまったりすることは珍しいことではないようです。 前述の調査においても、約3割の人が「丁寧な暮らし」を実践したことがあると回答するも、その4人に1人が諦めているという実態が明らかになっています。
[参考資料]
UCC上島珈琲株式会社『20~30代の若い世代を中心に「丁寧な暮らし」への憧れ、約6割に。一方で、実践者の約4人に1人が諦め。― 丁寧な暮らしは余裕のある人だけのもの? 丁寧な暮らしに関する調査』
パナソニック ホームズ株式会社『「住まいの暮らしやすさに関する調査2025」を実施。53項目の家事を「負担」と「楽しみ・やりがい」の2軸で分析し、4つの傾向に分類』