定年後も現役並みの報酬で会社に貢献しようという意欲あるシニア社員ほど、在職老齢年金の制度の壁に突き当たり、やるせない気持ちになっていました。しかし2026年度から支給停止の基準額は大幅に引き上げられ、不満解消となる予定。それでも、すべての人が納得とはいかないようです。
何の茶番だよ…月収50万円・64歳サラリーマン、日本年金機構から届いた「年金減額」のハガキに苦笑。2026年4月「在職老齢年金」改正でも心が晴れないワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

64歳で届いた「年金減額」の通知書

大手メーカーで技術指導にあたる佐藤和男さん(64歳・仮名)。60歳の定年退職後、会社から打診されたのは、月収50万円という現役時代に近い条件での「週5日フルタイム」でした。一方で、月収30万円ほどの「時短勤務」という選択肢もありましたが、佐藤さんが選んだのは前者です。これまで培ったノウハウやスキルを引き継ぎ、会社に貢献したいという強い思いがあったからです。

 

転機が訪れたのは、64歳の誕生日を数ヵ月後に控えたころでした。日本年金機構から届いた一通の封筒。そこには、60代前半で受け取れる「特別支給の老齢厚生年金」の受給手続きに関する案内が入っていました。

 

「まだ現役という気持ちが強いからか、恥ずかしながら年金には疎くて。このとき初めて『特別支給の老齢厚生年金』の存在を知りました」

 

特に深く考えずに手続きを済ませたという佐藤さん。しかし、その後に届いた「年金決定通知書」を見て言葉を失いました。そこには「支給停止額:3万5,000円」の文字。「あちらから連絡をしておきながら、その直後に『あなたは年金を減額します』と通知してくる……。何の茶番かと思いました」と、苦笑するしかなかったといいます。

 

原因は、在職老齢年金の「51万円の壁」です。2025年度のルールでは、給与と年金の合計額が「51万円」を超えると、超過分の半分がカットされます。佐藤さんの場合、合計58万円(給与50万円+年金8万円)から基準の51万円を引いた「7万円」の半分、すなわち3万5,000円が毎月の年金から差し引かれる計算です。

 

「『あなたは対象です』と知らせてくれるのはありがたいのですが、結果として『年金を減らします』、場合によっては『全額カットです』と言われるわけですよね。それはショックですよ」