手取り27万円・貯金10万円にもかかわらず、ネットの情報に焦ってNISAで「月7万円」の積み立て投資を始めたRさん(34歳)。しかし半年後、車検と歯の治療で約30万円の急な出費が発生します。手元の現金が足りず、相場が下落しているタイミングで泣く泣く投資信託をマイナス売却することに。生活防衛資金の確保を軽視して投資を優先したことで損失を確定させてしまった、30代男性の事例を紹介します。
「NISAで月7万円」の積み立て投資を始めた〈手取り27万円〉34歳サラリーマンの後悔。まさかの事態に襲われ、〈損失確定〉で泣く泣く売却したワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

普及が進むNISAと「現金軽視」のリスク

金融庁が発表した「NISA口座の利用状況調査(2025年12月末時点(速報値))」によると、NISAの口座数は約2,825万口座に達し、前年比で10.4%の増加を見せています。非課税制度を活用した資産形成が幅広い世代で定着する一方で、Rさんのように手元の現金を確保しないまま投資に資金を回してしまうケースは少なくありません。

 

金融広報中央委員会が実施した「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」によると、単身世帯が金融商品を選択する際に「収益性」を重視する割合は38.4%となっており、およそ4割の人が利益を求めていることがわかります。一方で、「流動性(現金への換えやすさ)」を重視する人は20.2%にとどまっています。

 

投資信託などはいつでも売却して現金化できると思われがちですが、相場には波があるため、お金が必要になったタイミングで元本割れを起こしているリスクが常にあります。Rさんのように手元の現金の流動性を軽視して収益性を追い求めてしまうと、急な出費の際に不利なタイミングでの売却を余儀なくされてしまいます。

 

投資を始める際の基本は、病気やケガ、急な出費に備えるための「生活防衛資金」を、銀行預金などの安全な形で確保しておくことです。一般的には生活費の3〜6ヵ月分が目安とされています。そのうえで、当面使う予定のない「余裕資金」の範囲内で投資することが、長く安定して資産形成を続けるための大切なポイントです。

 

[参考資料]

金融庁「NISA口座の利用状況調査(2025年12月末時点(速報値))」

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」