50代のなかには、子どもの独立により教育費の負担が一段落し、ようやく家計にゆとりが生まれた──そんな人も多いのではないでしょうか。一方で、50代には「老後資金の確保」という新たな課題が現実味を帯びてきます。年金だけで十分なのか、いまから資産形成を始めて間に合うのか、そんな不安を抱く人も少なくありません。そこで今回、教育費からの解放をきっかけに老後資金のことを考え始めた50代会社員の例を通して、50代からの堅実な老後資金形成についてみていきます。
“50代の相談者”が抱きがちな「投資のイメージ」
相談のなかで、Aさんはいくつもの不安を口にしました。
「今から始めても間に合うのか」
「投資は損をしそうで怖い」
「実際になにを選べばいいのか分からない」
こうした悩みは、50代の相談者に非常に多く見られます。若い頃に資産形成を始めていなかったことへの後悔と、失敗したくないという気持ちが同時に存在しているのです。
Aさんは、いわゆるバブル世代を先輩にもつ世代です。自分自身は投資と縁がなかったものの、周囲にはよく分からないまま金融商品に手を出し、大きな資金を長期間塩漬けにしてしまったという話を何度も聞いてきたといいます。その経験が、「投資=怖いもの」という印象を強めていたのです。
一度悪い印象がついてしまうと、それを払拭するのは簡単ではないでしょう。FPのもとを訪れる相談者には、Aさんのように「投資のイメージ」をアップデートできていない人も少なくありません。
そこでFPは、バブル期に多くの人が経験したことは「投資」ではなく「投機」であったことを伝えました。投機は、需給や仕組みのゆがみなどを利用して短時間のうちに誰かの利益を奪い取るものです。プラスマイナスゼロの世界なので「ゼロサム」と表現されています。
一方「投資」は、時間をかけてより良い暮らしを実現する経済環境を整えていく作業であるため、すべての人がプラスになる世界「プラスサム」と表現されます。
従って資産形成とは、Aさんが見た「投機」とはまったく違う種類のものであることを伝えました。 また、この数十年で投資を行う環境は大きく整備されてきました。投資信託の低コスト化や透明性の向上、税制優遇制度の導入などが進んできたのです。
株式会社アセット・アドバンテージ
代表取締役
1993年、米国オハイオ州立大学ビジネス学部卒業後、メーカーに勤務し、人事、経理、海外業務を担当。留学経験や海外業務・人事業務などを通じ、これからはひとりひとりが、自らの知識と信念で自分の人生を切り開いていく時代と痛感し、お金のアドバイザーであるファイナンシャルプランナーを目指す。
2002年にファイナンシャルプランナーの初級資格AFPを、2004年に同国際資格であるCFP資格を取得した後、どこの金融機関にも属さない、中立公正な独立系FPとしての活動を開始。金融機関や企業からの講演依頼の他、マネーコラムの執筆や書籍の執筆も多数。
個人相談も多く手がけ、年金、ライフプラン、資産運用を特に強みとしており、具体的なソリューション提供をモットーとする。
著書に、『「なんとかなる」ではどうにもならない定年後のお金の教科書』(クロスメディア・パブリッシング)、『ど素人が始めるiDeCoの本』(翔泳社)、『50歳を過ぎたらやってはいけないお金の話』(東京経済新報社)、『会社も従業員もトクをする! 中小企業のための「企業型DC・iDeCo+」のはじめ方』(同文舘出版)などがある。
●確定拠出年金の相談ができる全国のFPネットワーク
「FP相談ねっと」代表
https://fpsdn.net/
●公的保険のプロアドバイザーを育成する
「一般社団法人 公的保険アドバイザー協会」理事
https://siaa.or.jp/
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