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50代を襲う「役職定年」の現実と、労働意欲の変化
厚生労働省『賃金構造基本統計調査(令和6年)』によると、サラリーマンの給与は年齢とともに上昇を続け、50代でピークに達します。一般的には「もっとも責任が重く、働き盛り」とされる時期ですが、ここでブレーキを踏むベテランは珍しくありません。
【年齢別・サラリーマン(男性・正社員)の平均給与】
20~24歳:23.8万円 / 367.9万円
25~29歳:27.8万円 / 464.0万円
30~34歳:32.2万円 / 540.4万円
35~39歳:35.9万円 / 606.1万円
40~44歳:39.3万円 / 657.8万円
45~49歳:42.4万円 / 700.5万円
50~54歳:43.9万円 / 725.6万円
55~59歳:45.9万円 / 753.8万円
60~64歳:38.2万円 / 590.5万円
※数値左より、月収 / 年収
その背景には、長年「報われない労働」を強いられてきた実感があります。株式会社マイナビが実施した『正社員の「静かな退職」に関する実態調査(2024年)』によると、50代の45.6%が「必要最低限の業務しかこなさない(静かな退職)」という働き方を経験・実践しています。
同調査では、こうした働き方を選ぶきっかけを4つのタイプに分類していますが、松本さんのケースは以下の2つが複合した結果といえます。
■不一致タイプ(意欲低下)
「今の職場にはやりがいがある仕事がない(50代)」といった声に代表されるように、長く貢献しても報われない環境が意欲を削いでいます。
■損得重視タイプ(コスパ重視)
「お金のために働いているのでそれに見合った仕事量はしている(30代)」という声と同様、月収に見合う以上の過剰なサービスは行わないという判断です。
実際に「静かな退職」をしている人の70.4%が「今後も続けたい」と回答しており、その理由として「休日や労働時間、自分の時間への満足感」を挙げる人が最多でした。会社に人生の主導権を預けるリスクを避け、自分の生活を守るための「合理的な自衛」として定着しているのです。
組織の駒として使い潰されるのではなく、給与分だけをきっちり働く。そんな冷めた、けれど地に足のついた働き方は、厳しい時代をサバイブしてきた氷河期世代が、自分自身を壊さないために選んだ、一つの答えなのかもしれません。