(※写真はイメージです/PIXTA)
すべては会社のためにと尽くしてきたが…
都内のメーカーで働く、松本和彦さん(52歳・仮名)。いわゆる「就職氷河期世代」で、何十社と面接に落ち、ようやく潜り込んだ今の会社では、「拾ってもらった」という恩義から、月100時間を超えるサービス残業も、上司の理不尽な命令も、すべて「当たり前」だと思って飲み込んできました。
転機は、40代後半と50代目前に訪れた2度の「早期退職」の募集でした。
「自分より遥かに数字を稼ぎ、会社に尽くしてきた先輩たちが、ある日突然、会議室に呼び出されて戻ってこない。デスクの上が数日で片付けられていく……。あんな光景を2度も間近で見せられたら、誰だって気づきますよ。会社にとって、自分たちはただの『コスト』でしかないんだって」
松本さん自身は運よくリストラを免れましたが、残されたのは、いつ切られるかわからないという底冷えするような不安だけでした。
「以前は若手のミスを放っておけず、夜遅くまで手伝っていました。でも今は、自分の担当範囲が終われば、挨拶もそこそこにサッと帰ります。120%頑張っても、会社が私を守ってくれないのはもう分かっていますから。だったら、額面で月収45万円、この金額の分だけきっちりミスなく働いて、さっさと自分の時間に切り替える。それが一番確実な自衛策なんです」
最近の松本さんは、定時を過ぎると足早にオフィスを去り、スーパーで家族の夕飯の買い出しをして帰ります。
「『会社のために』とがむしゃらだったころより、今のほうがずっと寝つきがいい。月収45万円はあくまでも生活費以上の価値はなく、人生をすべて捧げるものではない。そう割り切ってから、ようやく会社に振り回されない自分を取り戻せた気がしています」