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「持ち続けるリスク」を回避し、年金内で収まる家計を再構築
佐藤さんが直面していたのは、住宅を持ち続けることで発生する支出の不確実性です。
総務省『家計調査(家計収支編)2025年平均』によると、高齢夫婦無職世帯の1か月の消費支出は26万3,979円で、平均的には4万2,434円の不足が生じています。住居費は月1万7,739円とされていますが、この数値は持ち家と賃貸を含む平均であり、固定資産税や数十年単位で発生する大規模修繕費は年次平均に分散されるため、実際の資金負担は見えにくくなっています。築40年前後の戸建て住宅では、屋根や外壁、配管の更新に一度で300万~500万円程度の支出が必要になる場合があります。
また、厚生労働省『令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』では、老齢厚生年金受給者の平均月額は15万1,061円とされています。夫婦で年金を受給していても、こうした突発的な住宅修繕費は老後資金を大きく減少させる要因になります。
このような状況を踏まえると、佐藤さん夫婦が行った住宅の売却と公営住宅への住み替えは、将来発生する可能性のある住宅関連支出を最小化し、毎月の支出を予測しやすくする選択といえます。
住宅を保有し続けないことを選び、生活費を年金収入の範囲に収まる水準に調整したことで、毎月の収支に余裕が生まれました。さらに自家用車の維持費も見直した結果、月10万円程度の余力を確保できたと考えられます。こうした余力は、将来の介護費や医療費が増えた場合の支出に充てることができ、精神的な安定にもつながるはずです。