働き盛りである40代。昇進による収入増は本来喜ばしいはずですが、現実は物価高騰や教育資金の壁が立ちはだかります。中堅層のリアルな家計事情についてみていきます。
「こんな父親ですまん…」年収800万円・45歳管理職が沈黙した夜。昇進の裏で失った「一家の大黒柱」としての自信 (※写真はイメージです/PIXTA)

教育費が映す「大黒柱」の不安

山本さんの抱く不安は、決して特別なものではありません。 文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」によれば、子どもを幼稚園から高校まで通わせた際、すべて公立でも614万円、すべて私立だと2,000万円弱に達します。

 

【ケース別…幼稚園から高等学校までの学習費総額】

・すべて公立に通った場合:614万円

・幼稚園は私立、小学校・中学校・高等学校は公立に通った場合:665万円

・幼稚園・高等学校は私立、小学校・中学校は公立に通った場合:838万円

・すべて私立に通った場合:1,969万円

 

さらに、ここへ大学費用が加わります。同省「国公私立大学の授業料等の推移」によると、国公立大学4年間の学費は約244万円。私立大学では文系で約400~450万円、理系では約550~600万円が目安です。自宅外通学となれば、生活費を含めて4年間で1,000万円規模に達するケースもあります。つまり、幼稚園から大学までの総額は、進路次第で3,000万円近くまで膨らむ計算です。

 

厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、40代後半の大卒サラリーマンの平均年収は700万円強。山本さんの年収800万円は決して低い水準ではありません。それでも「どの進路でも支えられる」と言い切れるかとなると、多くの父親が沈黙してしまうでしょう。

 

さらに、厚生労働省「毎月勤労統計調査」の速報が示す通り、実質賃金(名目賃金から物価変動の影響を差し引いた指数)の伸び悩みにより、多くのサラリーマン世帯は苦境に立たされています。

 

昇進によって年収800万円を超えた山本さん。会社で得られた肩書と、家庭で求められる安心。その間には、個人の努力だけでは埋めきれない深い溝があるのかもしれません。