「会社はこのままで大丈夫か」「ローンの支払いは続けられるか」40~50代では、漠然とした将来への不安が頭をよぎるものです。しかし、その不安の正体を具体的にシミュレーションできている人は多くありません。実は、多くのサラリーマンにとっての危機が「2029年」にセットされていることをご存じでしょうか。一体なにが起きるのか。本記事では、FPの川淵ゆかり氏のもとへ寄せられた相談事例をもとに、中高年サラリーマンが「あと3年」で備えるべきことを紐解いていきます。※事例は、プライバシーのため一部脚色して記事化したものです。
「定年までに返せるはずだった」住宅ローン繰上げ返済予定の月収33万円の40歳サラリーマン、銀行からの“金利上昇通知”に戦慄したが…3年後の2029年に迫る〈もっと恐ろしい事態〉【FPが警告】 (※写真はイメージです/PIXTA)

サラリーマンを襲う「2つの2029年問題」

Aさんのような40代会社員にとって、実は2029年に会社や家計にとっての大きな問題が2つ同時にやってきます。

 

1.「情報I」世代の襲来による失業

1つ目は、データ分析やプログラミングスキルといったITスキルを持つ若手が大量に社会へ出てくることによる影響です。2022年に高校で情報科目が必修となり、2025年1月の大学入学共通テストからは情報Iの科目が追加されました。こうしたた学習や受験勉強をしてきた若手が大学を卒業し、就職するのが2029年度からなのです。

 

たかが高校での学習内容と侮ってはいけません。共通テストの情報Iはレベルが高く、2年目となった2026年1月の内容は難化しており、平均点は56.59点との発表もありました。筆者も実際に解いてみましたが、単なる知識だけでなく、長文読解力・論理思考力・プログラミングスキルが問われる、かなり高度な内容でした。

 

こういったITスキルのある若手が会社に入ってくると、ITスキルの差がコミュニケーションの壁になる可能性も大いに予想できます。それはやがて、モチベーションや生産性の低下にまでつながっていくともいわれています。

 

さらに、転職市場への影響も深刻です。ITスキルを持つ若手が増えれば、中高年は彼らと仕事を奪い合うことになります。AIの発達も凄まじい現代、ホワイトカラーの転職は年々難易度を増し、「ITスキルはあって当然」の流れになっていくでしょう。

 

2.住宅ローンの「支払い増」が現実になる年

2つ目は、住宅ローンの返済額改定です。日本でマイナス金利が解除されたのは、2024年3月のこと。それ以降、政策金利の上昇はすでに4回行われており、合わせて0.85%の上昇となっています(図表参照)。この政策金利は、日銀の政策決定会合で決まり、変動金利型ローンの目安となります。

 

出所:筆者作成
[図表]日本の政策金利推移(マイナス金利解除後) 出所:筆者作成

 

2024年3月から金利の上昇が始まっているため、その5年後、つまり「2029年春以降」に猶予期間が終了し、毎月の返済額が実際にアップする時期を迎えるのです。変動金利型住宅ローンの利用者は全体の7割を超えていますから、影響は大きいでしょう。

 

筆者はこれらを合わせて「2つの2029年問題」と呼んでいます。年功序列で「5年待てば給料が勝手に上がる」という時代は終わりました。5年ルールの猶予期間は、あくまで“返済額アップに備えるための準備期間”です。

 

・返済額はいくらになるか。

・定年退職時のローン残高がどれだけ増えるか。

 

ローン完済を目指すためにも、この2点はシミュレーションでいまのうちに確認しておきましょう。