「会社はこのままで大丈夫か」「ローンの支払いは続けられるか」40~50代では、漠然とした将来への不安が頭をよぎるものです。しかし、その不安の正体を具体的にシミュレーションできている人は多くありません。実は、多くのサラリーマンにとっての危機が「2029年」にセットされていることをご存じでしょうか。一体なにが起きるのか。本記事では、FPの川淵ゆかり氏のもとへ寄せられた相談事例をもとに、中高年サラリーマンが「あと3年」で備えるべきことを紐解いていきます。※事例は、プライバシーのため一部脚色して記事化したものです。
「定年までに返せるはずだった」住宅ローン繰上げ返済予定の月収33万円の40歳サラリーマン、銀行からの“金利上昇通知”に戦慄したが…3年後の2029年に迫る〈もっと恐ろしい事態〉【FPが警告】 (※写真はイメージです/PIXTA)

住宅ローンで金利上昇よりも怖いこと

非常に多くの人がAさんのように「繰上げ返済で定年退職前に完済しよう」と決意して、70代で完済予定の住宅ローンを組みます。しかし、長い人生において最も怖いのは、「まさか!?」という不測の事態が起きることです。金利上昇だけではありません。病気・ケガ・介護・物価上昇・倒産・リストラ・事故・災害・離婚など、人生には多くの“みえないリスク”があり、ローン期間が長ければ長いほど、リスクに遭遇する確率は高くなります。

 

そして、それはある日突然やってくるもの。筆者自身も住宅ローンを抱えているときに10年を超える介護経験をしました。最近は50年ローン(半世紀ローン)を利用する人も増えていますが、一度“みえないリスク”について考えてみてください。

 

「70代まで働く」が当たり前の時代に

70代まで働く人が増えているのはご存じでしょうか? 2024年の65歳以上の就業者数は、930万人で、2004年以降21年連続で増加しています。性別・年代別では、次のとおりです。

 

<男性>

60~64歳:84.4%

65~69歳:61.6%

70~74歳:42.6%

 

<女性>

60~64歳:63.8%

65~69歳:43.1%

70~74歳:26.4%

 

※ 内閣府の令和6年版高齢社会白書より

 

さらに75歳以上(後期高齢者)でも、働く人の割合はこの10年で増加しました。

 

・2014年 129万人(8.1%)

・2024年 248万人(12%)

 

老後も働く理由は当然住宅ローンだけではないでしょうが、70代まで働く人が増えているという現実を踏まえ、選択肢を広げておくことが重要です。それが安心にもつながっていきます。

 

残された時間は「あと3年」ではなく「わずか3年」

・あなたは何歳まで働きますか?

・あなたは何歳まで働けますか?

・あなたは将来どんな仕事をしていますか?

 

筆者が近年、セミナーで問いかける質問です。帝国データバンクの2025年の調査によると、経営悪化や後継者不足などによる倒産件数は1万261件。休廃業件数は6万7,949件に達しています。

 

「大転職時代(転職希望者:1,000万人超)」といわれるなか、実際に転職できた人は3割強との厳しい現実もあり、だからこそ早めの準備が重要になってきます。転職や再就職でのスキルは多くの人にとって欠かせません。物価上昇が続き、年金不安があるなか、IT格差とローン返済増が襲う2029年問題も待っています。対策としては働き続けることが重要ですが、働き続けること自体も難しくなってきました。この荒波を乗り越えるため、自分の強みを見出し、生涯のジョブプランについて考えてみましょう。

 

2029年まで、あと3年。この3年間を「まだ3年ある」と過ごすのではなく「わずか3年しかない」ととらえ、将来に活かす時間にしてください。

 

 

川淵 ゆかり

川淵ゆかり事務所

代表