バブルのころ、多くのサラリーマンにとって「郊外に庭付き一戸建てを持つこと」は、人生の成功を象徴するものでした。しかし、それから30年余り。かつての憧れは、今や大きな負担になっています。ある男性のケースから、高齢期におけるマイホームの負担について考えていきます。
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「マイホーム神話」の崩壊…住宅維持費という名の「見えない負債」
バブル期に開発された郊外型ニュータウンの多くが、いま住民の高齢化と地価の下落に直面しています。総務省『2023年住宅・土地統計調査(速報値)』によると、全国の空き家数は約900万戸と過去最多を更新しました。
物件が余る一方で、すべての住宅が「売れる資産」であり続ける時代は終わっています。見落とされがちなのが、家を「持ち続けるコスト」です。
建物の価値が下がっても、固定資産税が急激に安くなるわけではありません。評価は3年ごとの見直しであり、特に土地については一定以下に下がりにくい仕組みがあります。さらに近年は、建築資材の高騰や人手不足の影響で修繕費が上昇。築30年を超える住宅では、数百万円単位の出費も珍しくありません。
追い打ちをかけるように、2024年4月から相続登記が義務化されたことで、「とりあえず放置する」という選択も難しくなりました。住む予定のない家であっても、子ども世代には管理と納税の責任が生じます。
人口減少と住宅余剰が進むなか、「持ち家は資産」という前提は崩れつつあります。老後の住まいは、いつまで住むのか、そしてどう手放すのか。早い段階で「出口戦略」を考えることが、これからの時代の現実になりつつあります。