かつて「学歴社会」は、古い時代の遺物として批判の対象になることが多くありました。しかし、AIの台頭によって労働市場が激変するなか、その価値観に変化が起きています。最新調査では、意外にも若年層ほど学歴の必要性を強く感じているという結果が出ました。ある若手ビジネスパーソンのリアルな声から、学歴の再定義について見ていきます。
「MARCH卒でも安心できない」月収32万円・26歳男性の焦燥…古い、古いと言われても、結局「学歴再評価」の意外な理由 (※写真はイメージです/PIXTA)

2年で5ポイント上昇……「学歴の必要性」が再評価される背景

パーソルキャリア株式会社/Job総研による『2026年 学歴とキャリアの実態調査』によると、学歴社会を「必要」と回答した人は71.0%に達し、2024年の調査時から5.0ポイント上昇しました。特に注目すべきは年代別の結果で、20代では79.8%と、約8割が学歴社会の必要性を肯定しています。この背景には、AI時代特有の「専門性への渇望」があります。

 

同調査では、もう一度学歴を選べるなら「違う学歴を選ぶ」と答えた人が51.3%にのぼり、その理由の第1位は「AI時代に強い専門性を得たい(34.6%)」でした。単なる大学名ではなく、そこで何を得られるかという「教育の質」への意識が高まっているのです。

 

また、公的なデータを見ても、学歴がキャリアの初期段階において重要な指標である事実は揺らいでいません。厚生労働省『賃金構造基本統計調査』などでも大卒・院卒の初任給は上昇傾向にあり、企業側が高度な教育を受けた人材を確保しようとする姿勢が顕著です。文部科学省『学校基本調査』においても、大学進学率は過去最高水準を維持しており、学歴が社会進出の標準的なステップであることに変わりはありません。

 

しかし、今回の調査結果が示唆しているのは、単なる「学歴至上主義」への回帰ではありません。学歴を「努力を評価する客観的な指標(65.5%)」や「論理思考力の証明(61.8%)」として捉える向きが強く、AIという予測不可能な技術と共生する上で、個人のポテンシャルを測る数少ない「信頼できる物差し」として再評価されているといえるでしょう。

 

――学歴なんて古い。けれど、必要。

 

そのような複雑な感情を抱きながらも、現代のビジネスパーソンは自らの価値を証明するものとして、学歴という指標と向き合い続けています。

 

[参考資料]

パーソルキャリア株式会社/Job総研『2026年 学歴とキャリアの実態調査』