(※写真はイメージです/PIXTA)
低年金世帯の現状と、子世代にのしかかる「親への仕送り」という重圧
厚生労働省『令和6年国民生活基礎調査』によると、高齢者世帯の所得構造において、公的年金・恩給が総所得の100%を占める世帯は約4割(43.4%)。さらに所得の8~10割が公的年金・恩給だという世帯は16.4%に上ります。日本の高齢者の多くが年金に依存していることがわかります。
次に年金の給付状況をみていきましょう。
厚生労働省『令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、厚生年金(第1号)受給者の平均年金月額は、基礎年金を含めて15万1,142円。さらに年金受給額の分布をみていくと、美津子さんのように年金10万円未満なのは、厚生年金受給者の25.8%で、人数にすると400万人強です。
一方で基礎年金だけ受け取る人(約3,300万人)は満額でも7万円弱なので、実に3,700万人を超える高齢者が、年金受取額月10万円未満だということになります。
高齢者の1ヵ月の支出は平均月15万円程度(総務省『家計調査 家計収支編』より)であり、多くの高齢者の生活が非常に厳しいことはこれだけでも明らかです。
そのようななか、親に仕送りしている世帯(仕送り先が親だけの世帯)は、およそ104万世帯。山田さんのように月3万円程度(※統計上は月4万~6万円未満の区分が21万世帯)の仕送りを含め、多くの世帯が支援を行っています。ちなみに1世帯当たりの親への平均仕送り額は5.6万円。山田さんの仕送り額は、平均的な範囲内だといえます(厚生労働省『令和4年国民生活基礎調査』より)。
山田さんのケースは、親を想う子の献身と、子を想う親の深い愛情が通い合った稀な例かもしれません。しかし、現役世代の家計が逼迫するなか、無理な仕送りは親子共倒れのリスクも孕んでいます。
大切なのは自己犠牲で支えることではなく、互いの経済状況を正直に共有し、公的支援なども視野に入れながら、持続可能な支え合いの形を模索すること。それが、結果として家族全員の未来を守ることに繋がります。