(※写真はイメージです/PIXTA)
統計が暴いた「働いても豊かになれない」日本の正体
そうした個人の実感を、統計データは残酷なまでに裏付けています。
厚生労働省が2026年1月8日に公表した2025年11月分の『毎月勤労統計調査(速報)』によると、物価変動を加味した「実質賃金」は前年同月比で2.8%減少しました。これで11ヵ月連続のマイナスです。
実は、給与の額面にあたる「名目賃金」自体は増えています。現金給与総額は31万0,202円で、前年同月比0.5%増と47ヵ月連続のプラスを維持しています。しかし、それをはるかに上回る勢いで物価が上がっているのです。実質賃金の算出指標となる消費者物価指数は3.3%も上昇しており、わずかな賃上げ効果を完全に打ち消してしまっています。
つまり、「給料袋の中身は少し増えたが、お店で買える物の量はそれ以上に減っている」というのが、今の日本の偽らざる姿です。
さらに深刻なのが、佐藤さんが直面した「ボーナスの減少」です。同調査における「特別に支払われた給与」は、前年同月比で17.0%減と大幅に落ち込みました。これは11月の速報値であり、支給時期のズレなどが影響している可能性もありますが、企業が一時金の支払いに慎重になっている、あるいは抑制傾向にある兆候とも読み取れます。
基本給のベースアップが物価上昇に追いつかず、家計の赤字補填に使われてきたボーナスまでもが減少傾向にあるとすれば、多くの中間層にとって家計のやりくりが限界を迎えるのは時間の問題です。
「物価の上がるスピードに、給料が追いついていない」
「働いても働いても、暮らしが楽にならない」
このじれったい追いかけっこが終わらない限り、いくら数字が改善しても、私たちの生活に春は来ないでしょう。