(※写真はイメージです/PIXTA)
負担増が許容範囲を超えたら、マンション売却も仕方がない…
今回の調査結果において、注目すべきは「売却意向」に関するデータです。
「許容範囲を超えて大幅に値上がりした場合、将来的にマンションの売却を検討するか」という問いに対し、「売却を真剣に検討する」「状況によっては考える」「やむを得ない場合は考える」を合わせると、なんと約半数が売却の可能性を示唆しているのです。
もし維持費の高騰を嫌気して売りに出す住戸が増えれば、需給バランスが崩れて資産価値が下落する恐れがあります。さらに、買い手がつかずに空室が増えれば、残された住民で管理費を負担せねばならず、さらなる値上げという「負のスパイラル」に陥りかねません。
特に築年数が経過したマンションほど修繕費はかさむ一方で、住民の高齢化により負担能力は低下する傾向にあります。調査でも回答者の約7割が築10年〜30年の「修繕本格化期」の物件に居住しており、この問題は決して他人事ではないのです。
さらに調査結果を詳しく読み解くと、住民が抱いている不安の本質が見えてきます。 「値上げの必要性は理解している」という層は約8割に達しています。つまり、住民はただ単に「お金を払いたくない」と言っているわけではないのです。問題は、そのプロセスにあります。
納得するために必要な情報として、「長期修繕計画と将来的な費用見通し(53.2%)」や「修繕工事の具体的な内訳(46.7%)」が上位に挙がっています。これは裏を返せば、多くの住民が「なぜその金額になるのか」「将来あといくら上がるのか」が不透明なまま、決定事項だけを突きつけられていると感じている証左ではないでしょうか。
ここから、マンション管理において最も恐れるべきは「資金不足」そのものよりも、住民間の「相互不信」であるという事実が浮かび上がります。
「管理会社が高い見積もりを出しているだけではないか」
「理事会が勝手に決めているのではないか」
こうした疑念が渦巻くなかでの値上げ提案は、必ず感情的な反発を招きます。逆に言えば、たとえ厳しい値上げ幅であっても、客観的な相場データとの比較や、複数パターンのシミュレーション提示など、決定プロセスを「ガラス張り」にすることで、納得感は大きく変わってくるでしょう。
調査では、値上げへの対抗策として「まだ何もしていない」という層が4割を超えていました。しかし、物価上昇のトレンドが変わらない以上、傍観している余裕はありません。
管理費や修繕積立金の値上げは、家計にとっては痛手ですが、見方を変えれば「資産を守るための再投資」でもあります。適切な修繕が行われず、スラム化したマンションこそ、売るに売れない最大の負動産となり得るのです。
[参考資料]
ベンチャーサポートコンサルティング株式会社『マンション管理費・修繕積立金の値上げ、「すでに影響あり」6割弱。マンション住民の本音が明らかに』
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