多くの人にとって成功の象徴であり、憧れの住まいである「タワーマンション」。しかし、購入から年月が経てば、建物の経年劣化や管理コストの増大といった現実的な問題が持ち上がります。特に近年話題となるのが、修繕積立金の不足や管理費の値上げです。これらは、年金生活を控えたシニア世代にとって重い負担となり得ます。ある男性のケースを見ていきましょう。
東京・湾岸タワマンを売ってよかった…管理費3倍・理事会紛糾の地獄。それでも60歳定年男性が5,000万円得して「勝ち逃げ」できたワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

タワマンは「永住」ではなく「出口戦略」ありきで考える

田中さんのケースから見えてくるのは、タワーマンションにおける「資産価値」と「維持コスト」のバランスです。

 

タワーマンションは、一般的な板状マンションに比べて維持管理に莫大な費用がかかります。豪華な共用施設、24時間常駐の警備員、そして特殊な足場や技術を要する外壁修繕。これらはすべて所有者の負担です。特に修繕積立金に関しては、新築時に販売促進のために低く設定されていることが多く、築年数が経つにつれて「段階増額積立方式」により値上げされるのが一般的です。

 

しかし、その一方で、タワマンには「立地の良さ」や「ランドマーク性」という強力な武器があります。これらは不動産としての資産価値を支える大きな要因です。今回の田中さんのケースでは、管理費・修繕積立金が3倍になるというランニングコストの悪化に見舞われました。長く住めば住むほど、年金生活者にとっては固定費の負担が重くのしかかります。しかし、市況が良いタイミングで売却を決断したことで、それまでのコスト負担を補って余りあるキャピタルゲイン(売却益)を得ることができました。

 

東京カンテイが2025年9月に発表した『首都圏の中古マンション価格の推移』によると、東京都心など首都圏の中古マンション価格は、2020年上半期で坪単価428.6万円。それが2025年上半期には819.5万円に上昇。5年で2倍弱と、近年大きく値上がりしました。田中さんはこの波に乗り、維持費の悩みから解放されると同時に、豊かな老後資金を手にして「勝ち逃げ」することに成功したのです。

 

重要なのは、タワマンを「一生住み続ける場所」としてだけでなく、「資産」として冷静に見る視点。「管理費が高すぎて住み続けられない」という事態はリスクですが、その背景に「充実した管理体制」や「人気のエリア」という事実があれば、売却時に高く評価される可能性もあります。逆に、管理が行き届かず、修繕積立金も不足したまま放置されれば、資産価値は下がり、売りたくても売れない「負動産」になりかねません。

 

定年というライフステージの節目で、自身の体力や資金計画と照らし合わせ、相場が高いうちに売却へ踏み切る――。田中さんのような「出口戦略」を持つことこそが、タワマンという資産とうまく付き合うための正解といえそうです。

 

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