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施設入居で「認知症が悪化」…家族が知るべき「誤解」と「リスク」
今回の事例のように「施設に入ると認知症が進む」という話はよく聞かれますが、これには「事実」と「誤解」の両面があります。
まず事実として、環境の変化は高齢者にとって大きなストレスです。内閣府『高齢社会白書』でも認知症有病者数の増加が指摘されていますが、認知症のある人は変化への適応が苦手です。住み慣れた自宅を離れる不安から一時的に混乱状態に陥ることは珍しくありません。また、事例のように「過剰な介護」によって、自分で考える・動く機会が奪われ、身体・認知機能が低下するケースもあります。
一方で、「誤解」も多く存在します。たとえば、「慣れた自宅だからできていただけ」というケースです。自宅では体が手順を覚えていて何とかこなせていたことが、新しい環境では通用せず、急に何もできなくなったように見える場合があります。また、環境になじめず周囲との関係性が築けていない状態を、家族が「認知症が進行して孤立した」と捉えてしまうこともあるのです。
施設入居はリスクだけではありません。栄養管理や規則正しい生活、スタッフや他者との交流が刺激となり、逆に症状が安定するケースも多々あります。重要なのは、家族が「何でもやってくれる=良い施設」という認識を改めることです。残された能力をどう活かすか、本人の「できること」を奪わないケアが行われているか。施設選びでは、豪華な設備以上に、その施設の「自立支援」への姿勢を見極める必要があります
[参考資料]
内閣府『高齢社会白書』