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「理想は2人以上」でも…立ちはだかる経済的な壁
由美さんの夫のように「なんとかなる」と楽観視する人がいる一方で、現実的な経済の壁に直面し、希望する子どもの数をあきらめる夫婦は少なくありません。
国立社会保障・人口問題研究所『第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)』によると、夫婦が理想とする子どもの数(平均理想子ども数)は「2.25人」です。しかし、実際に夫婦が予定している子どもの数(平均予定子ども数)は「2.01人」となり、理想と現実にはギャップが生じています。
さらに注目すべきは、理想の数の子どもを持たない理由です。「理想の子ども数を持たない理由」として最も多かった回答(複数回答)は、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」で、全体の52.6%と半数を超えています。これは年代を問わず高い数値ですが、特に若い世代ほど経済的な不安を理由に挙げる傾向が強まっています。「高年齢で産むのはいやだから」(40.4%)、「ほしいけれどもできないから」(23.9%)と続きますが、理想との乖離(かいり)の理由として、経済的理由が頭ひとつ抜けている印象です。
由美さんの家庭のように、一見すると共働きで安定した収入があるように見える世帯でも、都心部での生活コストや将来の教育費をシミュレーションすると、2人目を躊躇(ちゅうちょ)せざるを得ないケースは珍しくありません。
また、金銭面だけでなく、「キャリアの断絶」に対する恐怖も大きな壁となっています。同調査において、妻が予定の子ども数を持たない理由として「仕事に差し障りがあるから」という回答も2割を超えています。
由美さんのような企画職など、第一線で活躍する女性ほどこの悩みは深刻で、産休・育休による長期間のブランクは、単なる「休み」ではありません。昇進の遅れやプロジェクトからの離脱、あるいは復帰後に責任ある仕事を任されなくなる「マミートラック」への懸念に直結します。
「稼げばいい」「なんとかなる」と考える夫には見えていない部分ですが、一度レールから降りることのリスク、そして二児を抱えながら以前と同じパフォーマンスを出せるのかというプレッシャーは計り知れません。「仕事か子どもか」という二者択一を迫られる重圧は、依然として女性側に偏っているのが現実です。
「2人目の壁」の正体は、教育費などの「見えないお金」への不安と、キャリア継続に対する「見えないリスク」、そしてそれを夫婦で共有できていない「意識の断絶」にあります。異次元の少子化対策など、国による支援も議論されていますが、まずは家庭内での「現実的なシミュレーション」が不可欠。由美さん夫婦が「夫の小遣い制導入」という荒療治で現実に向き合ったように、パートナーに家計やキャリアの現状を直視してもらうこと。それが、夫婦の認識を揃え、家族の未来を守るための第一歩となるでしょう。
[参考資料]
国立社会保障・人口問題研究所『第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)』