「実家にいれば家賃もかからず、生活は安泰だ」と信じて疑わず、家に入れるお金もほんのわずかという、実家暮らしの独身者。しかし、物価高や親の年金減少が進むなか、その安易な認識が突如として家族間の決定的な亀裂を生むことがあります。ある男性のケースを見ていきます。
「もう限界、出ていけ!」正月のリビングで70代父が大激怒。「毎月3万円も入れていたのに…」42歳独身息子に突きつけられた「絶縁宣告」 (※写真はイメージです/PIXTA)

統計に見る「親と同居する未婚者」の実態

親の高齢化と自身の加齢が重なり、経済的な問題が表面化するケースは珍しくありません。

 

総務省統計局『令和2年国勢調査』によると、親と同居している「壮年未婚者(35~44歳)」の数は全国で約300万人にのぼると推計されています。この世代は就職氷河期世代とも重なり、非正規雇用や低賃金により、経済的理由で実家を出られない層も一定数含まれています。

 

しかし、同居を続けることで親世帯の家計を圧迫してしまう「共倒れ」のリスクも見逃せません。親が元気なうちは「子ども部屋おじさん(おばさん)」と揶揄される程度で済むかもしれませんが、親が介護状態になったり、亡くなったりした瞬間に、生活基盤を失う恐れがあります。

 

また実家に同居している子どもがいる場合、将来的な売却やリバースモーゲージによる資金化が難しくなることがあります。長期同居により子どもの居住権が事実上認められたり、共有名義になっていたりすると、全員の同意がなければ売却できません。また、多くの金融機関では子ども同居中のリバースモーゲージを認めていません。

 

さらに「実家は自分の家」という認識のズレから感情的対立が生じ、親の認知症発症後は売却自体が困難になるケースもあります。事前の話し合いと契約整備が重要です。

 

親子ともに健全な関係を維持するためにも、実家にかかる「見えないコスト」を可視化し、適切な生活費負担や将来の住まいについて話し合っておくことが大切です。

 

[参考資料]
総務省統計局『令和2年国勢調査』

国土交通省『住宅政策課題に対するJHFの取組』

 

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