共働き世帯が増え、「夫婦別財布」でお互いの収入や支出に過度に干渉しないスタイルが定着しつつあります。 しかし、その「自由」と「無関心」の境界線はどこにあるのでしょうか。家計に迷惑をかけなければ何にお金を使ってもいい、と安易に考えていたある男性のケースをみていきます。
「後ろめたいことはありません」42歳夫が2戸の投資用マンションを内緒で購入。妻が激怒した、役所から届いた「一通の封書」 (※写真はイメージです/PIXTA)

「ファイナンシャル・インフィデリティ(金銭的な不貞)」の代償

共働き世帯が増加し、「夫婦別財布」は珍しくない家計管理のスタイルとなりました。 株式会社プラスエイトが既婚男性を対象に行った調査によると、家計管理において「財布を分けている」という回答は、20代で27.7%、30代で24.6%、40代で28.7%、50代で16.1%。20~40代では4人に1人の割合で「夫婦別財布」が定着しています。

 

しかし、その独立性が高まるあまり、パートナーに重大な金銭情報を隠匿するケースが増えています。これを欧米では「ファイナンシャル・インフィデリティ(金銭的な不貞)」と呼び、離婚の主要な原因のひとつになっているとか。

 

パートナーに内緒で不動産投資を始めた啓介さん。このままでは小遣い制となり、妻・香織さんに財布を握られるのでは、と思いきや、今のところそのような事態には陥っていないようです。

 

同調査でも「小遣い制になったタイミング」について聞くと、「結婚当初」が83.9%と圧倒的で、啓介さんのケースが該当しそうな「生活費や家計の見直しのとき」(3.0%)、「お小遣いの荒さを怒られて」(1.5%)は、かなりの少数派。結婚当初に決めた家計管理法は、そうそう変わらないということの裏返しといえそうです。

 

しかし不動産投資は、株式や投資信託とは異なり、数千万円単位の債務を伴う契約です。「自分の給与で返せるから関係ない」というのは、あくまで平時の論理に過ぎません。

 

万が一、契約者である夫が死亡したり、高度障害を負ったりした場合、団体信用生命保険(団信)でローンは消えるかもしれません。しかし、金利上昇による返済額の増加や、空室リスクによる持ち出しが発生した場合、そのしわ寄せは確実に家計全体、ひいては家族の生活水準に波及します。

 

「財布が別」というのは、あくまで日常的な出費の管理上の話。人生を左右する規模の契約において、パートナーを部外者扱いすることは、投資のリスク以上にまずい、と心得ておいたほうがよさそうです。

 

[参考資料]

株式会社プラスエイト『【自分で稼いだお金なのに使えない....】8割以上がお小遣い制は結婚当初から!20代男性の約4割は家計管理に不満と回答』