「自分は部下思いの良き上司だ」と信じて疑わない。そんな自信が、ある日突然、脆くも崩れ去る瞬間があります。かつては美徳とされた熱血指導や家族的な付き合いが、現代の職場では致命的なリスク要因となり、管理職のキャリアそのものを脅かすケースがあるようです。ある男性のケースをみていきます。
「明日から、部下のいない部署へ…」月収70万円・48歳営業部長、人事部から突きつけられた「A4用紙3枚のレポート」、その衝撃内容 (※写真はイメージです/PIXTA)

「熱血上司」はリスク要因? 数字で見る管理職の受難

現代の企業組織において、かつてのような「親分肌の上司」は、リスクそのものとして扱われるようになっています。

 

厚生労働省の『令和2年度 職場のハラスメントに関する実態調査』によると、過去3年間にパワーハラスメントを受けたと回答した労働者は31.4%にのぼります。

 

また、ハラスメントの相談件数が多い職場の特徴として、「上司と部下のコミュニケーションが少ない」ことと並んで、「残業が多い/休みが取りにくい」「失敗が許されない雰囲気」が挙げられています。

 

ここで注目すべきは、高橋さんのように「コミュニケーションをとっているつもり」の上司ほど、部下との間に深い溝を作っているケースが多いという点です。

 

株式会社リクルートマネジメントソリューションズが公表している調査でも、上司が「良かれと思って行っている指導」と、部下が「求めている支援」の間には大きなギャップがあることが指摘されています。

 

現代の若手社員が求めているのは、熱い激励や飲み会による結束ではなく、業務の明確な指示と、プライベートを侵害されない「心理的安全性」です。

 

40代以上の管理職は、自分が若手だった頃の「成功体験」を一度捨てる必要がありそうです。

 

[参考資料]

厚生労働省の『令和2年度 職場のハラスメントに関する実態調査』

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ 『上司・部下間コミュニケーションに関する実態調査』