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「退職金があるから大丈夫」は幻想? 高齢者を追い詰める“固定費”の恐怖
修一さんのように、「公務員だったから」「退職金があったから」という安心感が、インフレと長生きのリスクによって崩れ去るケースは珍しくありません。
総務省の『家計調査 家計収支編』によると、65歳以上の単身無職世帯の消費支出において、食料費に次いで「住居費」や「光熱・水道費」などの固定費の割合が大きく、その比率は近年上昇傾向にあります。 特に、物価高騰の影響もあり、食料品以外の必需品(住居費、光熱費、通信費など)が家計を圧迫し、高齢者世帯の家計負担が増加している実態がうかがえます。
また、昨今の物価上昇は、年金生活者にとって「実質的な減額」を意味します。年金額はマクロ経済スライドによって調整されるため、物価が上がった分だけそのまま年金が増えるわけではありません。
さらに「現役時代の生活水準」と「プライド」が高ければ高いほど、生活のダウンサイジングは難しくなります。 「教え子や近所の目があるから、みっともない暮らしはできない」と、なかなか身の丈にあった生活を送ることができないケースも。その筆頭にいたであろう修一さん。しかし、そのようなプライドを捨てなければならないほど、今の高齢者の生活は厳しいのかもしれません。
年金支給日は、かつてのような「ボーナス日」ではなく、厳しい現実と向き合う「収支決算の日」といえそうです。
[参考資料]
総務省『家計調査 家計収支編』